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2024年4月3日水曜日

2023年度のあれこれ

 岡山市初の認定マンション


2023年7月12日 岡山市南区両備グレースマンション妹尾駅前・伍番館が岡山市初の管理計画認定制度に認定された。
適正化診断サービスをきっかけに認定を取得するお手伝いをさせていただいた。取得にあたり長計の修正、規約改正、必要書類の準備と確認を行いマンション管理センターに申請。審査官から一部補正指示を受けながらも7月12日に無事岡山市から認定するまでに至った。
中国地方初の認定マンションとなり新聞にも掲載。

理事会はじめ管理会社様の熱心な後押しがあったからこそ成し遂げられたものと感謝している。
併せて岡山市住宅課には、いち早く認定制度の制度構築と広報に努められたことが関係者の背中を押したとも言える。
2023年度からは倉敷市も認定制度を設けることとなり今後の動向に注目しているが未だオファーの話はない。

倉敷市マンション管理セミナー

令和5年度倉敷市主催「マンション管理セミナー&個別相談会」をウウィズアップくらしきにて開催。
セミナー講師として管理士会を代表して講演させていただいた。

講演テーマは
1.役員のなり手不足の対応 役員の資格要件緩和
2.修繕積立金の目安 長計資料から計算してみよう
3.火災保険の知識 付保割合と個人賠償責任保険

通常の講演時間を見直し、時間内に個別相談会を併せて行うことし4組ほどの相談を行うことができた。
座学半分、相談会半分とした時間構成はよかったのではないか。

岡山市マンション管理士派遣制度

2023年度岡山市マンション管理士派遣制度を利用した件数は8件。昨年が12件の実績なので少し減少した。毎年10件程度を見込んでいるので管理士会側からも広報に努めたい。

自主管理からの相談、第三者管理の是非など管理組合運営上の問題などが目立つ。規約改定、長計の修正など理事会と組合員の合意形成にむけての相談など。

管理会社を対立軸におく時代はもうサヨナラしなくてはならない。
やがて管理会社に頼ることなく、熟したマンションは自主管理、老年期は第三者管理という管理形態を変えながら変わっていく管理組合もありだと思う。

マンションの若年期、壮年期、熟年期、老年期と自分のマンションの時代背景を背負いながら管理形態を変えていく時代もあるだろう。
倉敷市もR6年度からは管理士派遣制度を考えているとのことで注目される。







2024年4月2日火曜日

岡山市マンション管理無料相談会

相談件数の増加

岡山県マンション管理士会が岡山市役所等で行う無料相談会は2019年度から始めている。
2019年度の相談件数はわずか13件と1件/月のペースで推移していたに過ぎない。
コロナ禍であった年も相談会の中止もあり件数は伸び悩んでいた。

2022年度、コロナが日常生活として受け入れ、落ち着きをみせた時点から相談件数は増加し、前年度倍増の28件を数えた。この年から岡山市も管理計画認定制度を導入するに至り管理組合からは「認定」の問い合わせもあり管理組合による関心度も上がってきたと言える。またこの年から管理会社の管理費値上げ、契約更新の拒否などが目立ってきた頃でもある。

2023年度はこれらの相談に加え、組合員の個人相談ではなく、理事長をはじめとする役員からの相談が多くなってきている。相談主体が管理組合の執行機関である役員に移行していきていることに注目したい。
2023年度では前年の28件から61件と倍増以上の伸びを示した。5件/月というペースに対応するために担当者の増員を図るまでになった。2019年度の1件/月から想えば隔世の感がある。
組合員の個人的な相談から役員を中心とした管理組合運営上の相談に移行しつつあることを実感している。ここにきて管理士会というものが広く認識されるようになったことと併せて本来管理士がその職務として対応するに相応しい環境が育ってきたことの結果だと感じる。



統計をとる

相談件数の数字を見ただけでは相談会の主旨を語ることはできない。
相談内容にどのような属性があるか統計をとることにした。2023年6月からGoogle Formを利用して相談者と相談内容の属性を調べることになった。
相談者側の個人情報、マンション名、管理会社名は記録しないことは大前提であることは言うまでもない。
記録内容は、
1.相談者の属性
 ・役員(理事長、理事、監事)
 ・組合員
2.マンションの属性
 ・築年数
 ・世帯数
 ・機械式駐車場の有無
3.相談内容の属性(大分類)
 ・管理組合
 ・財産管理
 ・計画修繕
 ・居住者間
4.相談内容詳細項目(小分類)
 ・管理組合の詳細相談項目
 ・財産管理の詳細相談項目
 ・計画修繕の詳細相談項目  

5.相談内容(記述式)

 6.回答内容(記述式) 

 などとした。

サンプル数は2023年度は約60件のサンプルをとることができた。
まだサンプル数の分母が少ないので評価するまでに至っていないが、相談内容の動向を知ることはできる。岡山市内の管理組合が抱える昨今の悩みの傾向を知ることで岡山市のマンション事情を少しでも語ることができるのではないだろうか。
岡山県マンション管理士会はHP上でこれらを公表している。


相談内容と回答内容を記録する(記述式)

相談内容を記録する際、管理組合側からの相談内容と併せて、管理士会員側が回答する内容も記録している。あえて記述式の回答とこだわったのは、管理士会員側のスキルの向上を図った面と回答内容を管理士会員で共有する意図がある。

相談内容をどこまで聞き取り、どのような切り口で解答したかを可視化させることにより、曖昧さを排除して回答内容の標準化を図ることとしている。士業に携わる人は個人間の知見の差が大きいゆえ、解答内容も個人間で濃淡が出やすい。これでは相談者にとって当たりはずれの不信感を招く恐れがある。相談相手によって回答が異なるようであってはならない。このようなことを防ぐため、管理士会としての回答スキルの標準化が求められる。

相談内容の事例を知る、事例に合わせた回答内容を知る。これらを可視化することで互いの知見を深めることを意図している。どのような相談事例があり、どのような回答したかを一覧で見ることが出来るようにしている。この記述式の相談と回答は一般には公表せず、管理士会員のみで共有している。






2023年4月28日金曜日

マンション居住者交流会 岡山市

 マンションに暮らす・管理する悩み


 マンションに暮らしてからはじめてわかる生活上の悩み、管理組合役員としてはじめて経験する管理上の悩み事というのはどこのマンションでも濃淡の違いはあろうが誰も経験するものです。「こんなはずではなかった」を「解決策をないものか」と模索する経験を持つ方は少なくない。マンションで暮らし、生活する上でのトラブル(相隣騒音、ペット飼育、ゴミ出し等)は基本、規約・細則に定める以外の諸々マナーに起因する住民間のトラブルは管理委託契約外であるので管理会社はノータッチ。そのような問題は住民間で解決する事を前提としている。

しかしこの住民間トラブルを受けて、管理組合が自身の問題として解決に向けての受け皿と仕組みを持ち合わしているかといえば、ほとんど持ち合わしていなどころか、目をそらしてきたのが実情ではないだろうか。

マンション管理とは広義的には包括的に生活者の基本的な暮らしを守ることも意味するのに対し、狭義的にはマンションの共用部、管理組合含めた管理の適正化に限定しており、生活者間のトラブルには関与することを避けてきた。つまり住民間の殆どのトラブルに管理組合、理事会としては相談、解決するための受け皿として機能していない実情を受けて、「管理組合、理事会が何もしてくれない」と嘆き、当事者がマンション管理士会の相談会に訴える事例の多さは数えることができない。

役員となり管理会社との折衝、運営上の悩みも多く、合意形成に費やす労苦は並大抵ではないだろう。不信、不明を解決する策どころか、相談する先も知ることもなく悶々とする毎日だろう。問題はこのような悩みを役員に相談もしたところで、誰も経験による知見がないことから助言、指導することもできないし、限られたマンパワーの中では無理というものであろう。問題を抱える当事者にとっては、管理組合、理事会が主体となり相談して問題解決できる仕組みがないことを嘆くジレンマと諦めが根底にあるのではないだろうか。

隣のマンションの問題解決事例を知る


 岡山市の「マンション居住者交流会」とは、岡山市内の各マンションに住む有志が集まり、このような管理上、生活上の悩み、意見などを持ち出して参加者で議論して解決を導くための場である、マンション居住者どおしの横のネットワークを構築することにある。

有志と言えども管理に初心者なので規約、長計などの知識はあまりなく、感情的に訴えることしか初めはできない側面もあり、一部ガス抜き感の場に変わっていしまう危険もあるが、この場のルールを規定して建設的な議論にもっていこうとする行政担当、座長の姿が見られる。会を重ねる毎に、会としての色を出し建設的な議論に発展することだろう。

コミュニティの定義の一つに「地域問題解決型」が挙げられる。問題解決を意図とし、相談ができるマンションコミュニティ団体までに成長していくことに期待している。
本来、ンションの横のネットワーク作りは既存のNPOなどが積極的に関与する分野でもあるが、あまり期待以上に機能せず、岡山市行政担当が形を変えてネットーワーク構築の手助けにのりだしたいうことになるだろう。
今後、この交流会が盛り上がり見せて、市民活動の域にまでも活動を広げていく事を期待している。


2023年1月27日金曜日

認定制度と評価制度

 マンション管理の標準化


認定制度

 国交省がマンション管理の認定制度の施行を2022年度から始まったたことはひとつの大きなきっかけになったことは間違いない。自治体がマンション管理の優れた管理組合を認定するとした背景には、ひたひたと迫る管理不全に陥る膨大なマンションストックの影に待ったなしの懸念を表したものと理解している。自治体が各マンションの優越を判定したところろで、市場価値にそのまま反映されることは期待できないが、少なくともマンションを買う側、売る側に管理水準のお墨付きが与えられたマンションが公表され、一定の指標を示しマンション選択の判断の資するところを提供することではないかと思う。しかしながら認定、すなわち〇か×かの判断でしかない。そもそも管理に〇か×かの判定というのも不思議な基準で、管理水準のレベルを示すことなく合格か不合格を示すものに違和感を持つのも当然と言える。では、なぜ国はあえて評価レベルを示すのではなく、認定にこだわったのはなぜだろうか。

管理の骨太を示す認定制度

 国、あるいは自治体としては、管理の仕様は一様でなくとも、管理組合の運営規範、維持修繕計画と計画に見合う財政力。この3点に絞り一定の水準さえクリアさえすれば、後は多種多様の管理仕様に踏み込むことはしないと示したものと理解している。規範である管理規約と修繕計画である長計、そしてお金である修繕積立金の状況がマンション管理の根幹として一定の線をひいたことによる。この線を管理レベルの上の標準ラインとし、上回っているマンションは合格となり、下回っていれば不合格としている。国、自治体では管理標準を示すものということになる。認定状況は現時点全国で17件が登録されているに過ぎない。この登録数の低さは認定制度のインセンティブが働かない以上に管理組合が申請から認定まで至る手続きの複雑さと負担が考えられる。膨大な資料を電子化するなどの作業を管理組合に投げるなど負担が大きく、管理会社も容易に引き受けることを躊躇するのではないだろうか。

なお、販売中マンションで、まだ管理組合が存在しないマンションには別途「予備認定」という制度を有しており、こちらは全国で500件余りの登録、岡山県下では2件登録を受けている。こちらの予備認定ではデベ、管理会社連名で申請しできるので主に販促ツールの意味合いが強い。顧客への訴求効果としては、他に住宅ローンの優遇ということも予備認定登録を後押ししているようだ。


評価制度

 合格か不合格の認定ではなく、管理水準の等級レベルを示す評価制度を採用している評価制度は2015年から始まっている。マンション管理適正化の法を受け、日本マンション管理士会連合会が行う「マンション管理適正化診断サービス」が先行している。管理規範、修繕計画と見合う資金、加えてライフラインである給排水システムのメンテ状況、消防法に係る点検結果など法点検の遂行と処置、必要書類の保存など多岐にわたり、S、A、Bと3段階の評価を示している、インセンティブとして高評価であれば火災保険料の引下げなどの優遇があり、全国で累計1万5千件の申し込みを受け、岡山県下でも累計50件程度のマンションがこの評価制度を利用しいてる。


 マンション管理業協会が認定制度の施行に合わせて、2022年から始めている「マンション管理適正評価制度」がある。既に今年度で約100件を超える登録を達成させている。管理会社の担当するマンションを管理業協会が6段階に分けて評価するというもので、制度的には最も新しいものとなっており、審査も60項目と多岐にわたる。しかしながら管理会社が主体とならざるを得ない実情もあり、評価取得の姿勢は管理会社のその熱度いかんによらざるを得ない。岡山県下でいえば現在3件(岡山市、倉敷市2件)のマンションが登録されているが、管理会社はすべて日本ハウジングであることに注目したい。中四国大手の穴吹系は岡山、四国では登録にまで至っていないことを考えれば管理会社の熱度に大きく左右されるものと考えられる。
どちらの評価制度もマンション管理をレべル評価し、不動産流通サイトへ評価レベルの公表も可能とし、市場への管理状況を示すものとしている。

管理の標準化

 自治体の認定制度、民間の評価制度などマンション周辺では管理評価と透明化がにわかに話題にあがっている。この評価が俗に呼ばれる「資産価値」に連動することは甚だ疑問であるし、そのような期待を願うものではないが、管理状況の透明化を示すマンションが優良マンションの土俵にあがる資格を得ていくことには変わりはないと言えるのではないだろうか。これら管理評価し公表する姿勢が近々管理の標準化として根付いてくれればと思う。

2022年11月21日月曜日

資産価値、資産価値というけれど

あなたのマンションの「資産価値」って



  昨今のマンション管理業界周辺ではマンションの評価制度を語る人がずいぶん増えてきていると感じる。国交省も自治体もマンションの将来を案じ、管理不全を予防する施策に余念がない。本年4月から始まった自治体と管理業界が推すマンションの評価制度の導入となったのはその施策の表れだろう。従前では、マンション管理の質的向上の指針となるものさしが甚だ曖昧であり、広く社会的に広まるところまで至らなかったという思いだ。「マンションは管理を買え」と言われ、世間に響いて耳を傾けるまでになったのはつい最近のような気がする。


 いわゆるマンションを資産運用の蓄財の材料として見なし、その不動産価値を「資産価値」として置き換えてきたもので、投資材料の道具として見てきた感がある。その資産価値を決めるのは、マンションのブランドであり、規模と豪華さであり、充実した共用施設であり、利便性の高い都心駅近であり、流通性でもある。高額であればあるほど、それに見合う価値として購入者に刷り込まれていったのだろう。マンションに住むということよりもマンションを購入することに意味があったのかもしれない。マンションの価値とは適正な管理を推す価値ではなく、投資材料的な文字とおり金の成る材料として「資産価値」に重きを置いたものであったろうと思う。所有して賃貸で貸して値上げを待って売却する。

 しかしマンションに住む人々が全てこの「資産価値」に一喜一憂しているとはとても思えない。不動産仲介サイトで自分のマンションの売却相場を知ったところで、売却してどこかで暮らすあてもない人が大方であろう。統計的には今の住むマンションを終の棲家としてとらえている方の割合は年々増え続けている。特に高齢者にとっては今のマンションの売却相場を知ったところで、痛くも痒くもないはずだ。不動産としての資産価値云々とは程遠いところにいると言っていい。このような方々が管理組合員の総勢を占めているマンションであれば、資産価値と声高に騒いでいても響いてこないだろう。
 資産価値を高めるためにマションの財政を健全な水準に引き上げようと修繕積立金の値上げを提案したところで、得体の知れない「資産価値」を享受する期間とそのために値上げする修繕積立金を天秤に測ればおのずと答えは分かろうというものだ。資産価値を高めるために暮らしているのではなく、日々の平穏の暮らしに重きを置き、貯蓄を切り崩して目先の生活を営む高齢者にとっては、マンションの資産価値よりもご自分の資産価値のほうがよっぽど切実な問題である。


 このような平均的なマンションの住民の声はある意味サイレントマジョリティの声でもある。昨今のマンションの「資産価値」を唱える声にかき消されつつあるが、根付いている声でもあるはずだ。マンション管理関係者は、マンションを管理不全から救うために「資産価値」を高める話とその必要性をを唱えるが、その責任を管理組合に負わせるだけの話が多すぎるのではないだろうか。
何も「資産価値」だけでそのマンションの評価が左右されなくてもいいはずだ。
マンションの評価を「資産価値」一辺倒だけではなく違う視点から評価する基準もあってもいいと思う。

2022年9月29日木曜日

区分所有法の限界

 時代に合わない区分所有法

区分所有法

 区分所有法が施行されて約60年、この間に多少の改正があったとしても基本的に変わることはない。
今から約60年前に現在のマンションの様々な問題を想定しているとは思えず、この法律が今般の問題を引きずっていると感じることも少なくない。

この区分所有法ができた頃に建てられたマンションの現在の立ち位置はどのようなものだろうか。区分所有法によって守られた区分所有者の権利と引き換えに、区分所有法で縛られる自由もある。それはマンションの高経年化に伴う区分所有者の身の振り方であり、物理的なマンションの終わらせ方を示していないところである。

区分所有の終わらせ方

 高経年マンションであり賃貸化が進み、管理組合も名ばかりで管理会社も手をひくような管理不全のマンションがこれから先増えることは容易に想定できる。売ることもできないマンションを抱えた区分所有者に対して管理を怠ったことへの自業自得と冷ややかな目を向けることは簡単だが、過程はどうであれ、結果として区分所有法は、社会資本であるマンションをスラム化を防ぐ縛りは設けても、合法的に区分所有権から離脱するというすべは何も示していない。区分所有がマンションを終わらせようにもその終わらせ方を区分所有法は何も示していない。

区分所有法ではいったん所有したマンションでは売買や譲渡による権利移転以外、その放棄は認められず、区分所有が亡くなるまでそのマンションを引きずることになる。

つまりこの法律によって、守られる権利もあれば、権利を意図的に放棄する自由もないことがジレンマとしてある。マンションという負の遺産から逃れるには売買により区分所有者から逃れること以外になく、マンションを放棄したい、区分所有権を放棄したいと考える区分所有者に応える法的なよろどころがないに等しく、今後マンション維持に要する資金もなく、また、管理不全のマンション売却することもできなくなって身動きができない区分所有者難民を生むことになる。

マンション建替えの幻想

 昨今マンション管理に関わるニュースが紙面をにぎわすことも多くなった。特に高経年化に伴う区分所有者の高齢化とマンション維持コスト高騰によるマンション管理の悲哀の話題である。この先、管理をなす人がいなくなり、管理する原資がなく、管理能力のない無関心な区分所有者、あるいは認識はしつつも何も打つ手がなく、動くことができない区分所有者達によって、マンションの将来は確実にスラム化の道をたどることになる。全国の観光地に廃墟化したホテルが散見されるが、この光景が今住んでいる街に将来見ることもあり得ることだろう。

高経年化のマンションの未来図を描く時にいつも話にあがるのはマンションを建て替えるという選択である。しかし「マンション建替え円滑法」もその合意形成の要件を緩和していくことになっても、建替えするという選択ができるマンションは果たしてどれくらい存在するだろうか。利便性があり、かつ容積率を緩和でき、デベロッパーも参加できるような立地条件、今後予想される高価値が認められ、なおかつ建替え費用を超える価値を見出すことができるマンションは都心でもごく稀である。一般的な郊外に並ぶマンションなどは殆ど建替えることはできないと言ってもいい。安易に建替えを検討する管理組合もあるが、聞けばほとんどが希望と理想を語っているにすぎない状況だ。

 岡山市内の小規模マンション(20戸程度)の再調達金額は約4億円として、1戸当たり2000万円をだして再建しようと賛同する区分所有者がいるとは到底思えないのである。

2022年7月23日土曜日

自主管理について

 小規模マンションの管理


管理会社の撤退

 最近よく見聞きするのが管理会社による管理組合の撤退。管理会社の更新が当たり前のようであった時代からは考えられないような状況が広がりつつある。
住友不動産建物サービス(建サ)が2年ほど前から、今後不採算が見込まれる管理組合、諸事情に問題を抱えた管理組合などの将来リスクを避けるためマンション戸数規模に関わらず契約を更新しないと発表した。この動きに各管理会社からは「よくぞ言ってくれました。」と同調気配。主従の逆転となるこの流れは一気に業界を駆け巡り、管理組合のお客様意識を変えるよい機会になったといえる。
管理会社の多くは淘汰されつつ、適正化法の縛りによりサービスの標準化がなされつつあるが、管理組合には法と契約による管理意識と組合認識が乏しい故、管理会社に主張と批判を繰り返しお客様意識によるクレーマー集団となっていることも多々あると言っていい。

 どこの管理組合でもそうだが、しっかりと運営なされている管理組合は管理会社がどこであろうと関係がない。管理会社によって管理組合が弱くなることはない。管理組合と管理会社は緊張感と距離感をもちながらのパートナーでしか過ぎず、管理主体は管理組合にあるもののそこに上下の関係はない。管理組合さえしっかりしていれば、管理会社に左右されることはないし、管理会社の責任云々の話しはでてこない。理事長が「管理会社がぁ」と声高に叫ぶ様を見る度にやれやれと思うのは私だけではないはずだ。管理会社の非を責める熱量がある分その熱量を管理区組合の建設的な是正に向ければどれだけ助かるかと思うことしばしある。

小規模マンションの場合

 ある事情により管理会社から管理打ち切りを宣告された管理組合のその後の管理形態をみると、大方自主管理へと移行するようだ。というか自主管理しか道はないというのが正直なところ。今まで良かれ悪しかれ管理会社に頼ってきたものが突然自分たちで管理を行わなければならなくなった時、各組合員の負担は想像を超えることに気が付くはずだ。出納は誰がどのような方法で行うか、会計は誰が責任をもって行うのかなど運営の基幹に係る諸事に試行錯誤で名ばかりの管理で責任をないがしろにされ、管理体制と内容はやがて惰性と曖昧さ生み、独善から横暴がはびこり、長年居座り続ける理事長はやがて癒着と横領に至るのが一般的だ。
ただし自主管理の形態も昔とその様は変化している。今では自主管理をサポートする管理会社のサービスも存在する。

自主管理サポートに特化

 1つは、自主管理で最も悩ましい出納・会計業務のみをサービスする管理会社も存在する。フロントは存在しないし管理組合運営にタッチしないので料金は大幅に安くなる。このサービスを起ち上げてる管理会社も大手で限られているものの自主管理で人手も乏しい小規模なマンションとしてはありがたい存在ななることだろう。

2つめは、自主管理に特化したアプリを管理組合に導入し、このアプリ上で出納・会計管理を行うもの。管理会社から購入したアプリを組合員が3カ月程度導入、操作方法の講習を受けた後はスマホで承認から支払い、決済まで行う。スマホの基本操作が必須だが、管理内容の透明性は群を抜いているので、今後このような方法が普及するように思える。現在三菱地所の「KURASEL」が先行しているが、あなぶきハウジングの「SMUSIA」も関東圏でサービスを行うことが発表された。今後、各管理会社も自主管理の管理組合を取り囲むため、アプリ開発を進めて普及を図るとみられる。

このような自主管理支援アプリの導入することにより、出納・会計業務から解放され、組合運営に注力することができる点は大きく、昔のような自主管理という負のイメージを払拭することになるかもしれない。

☆自己紹介☆

自己紹介 こんにちは! 加藤典保といいます。 岡山県マンション管理士会で副会長やってます! マンション居住歴30余年でもあります。 マンション管理士と名乗ってもマンションに住んだことがないマンション管理士とは一線を画します(笑) あなたのマンションについてのお悩みや相談など困りご...