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2022年3月11日金曜日

本末転倒 駐輪場使用料設定してガラ空き

 専用使用料設定の目的


荒れる駐輪場

 どこのマンションにも駐輪場は設置していることでしょう。自転車とオートバイなど置き場所を分けている所も少なくありません。
よく、マンションの管理状況を判断する目安としてでてくるのが駐輪場の管理所状況です。
壊れた自転車の放置、幼児用3輪車の保管、空気入れ、鍵チェーン等自己所有物の放置、明らかに住人のものではない自転車、オートバイ用のオイル廃棄缶などまるで倉庫を兼ねているかのようになってしまった荒れた駐輪場が散見されます。

どのマンションも一度はこのような状況に対処するために、定期的に不要自転車の撤去や所有者を明確にするためにタグなどをつけて識別化していることでしょう。
駐輪場がいつも整然としていることは、住民のマナーはもとより、管理面もしっかりしているという目安になります。整列方法もパラレル式の駐輪機を設け、利用細則などを取り決めていますので急激に駐輪場が荒れるということはないでしょう。

平面駐車場が確保できる敷地があるマンションでは、おおむね世帯数の自転車が駐輪できるスペースを設計しています。しかし家族構成の移り変わりにより自転車の保有台数もある時期をピークにして、減少していくのが通例です。やがて自転車を保有する世帯がだんだん少なくなっていき、やがて駐輪場の置く自転車の数は減っていきます。

安易な駐輪場使用料導入

 駐輪場がやがて荒れていくマンションは、利用者にマナーだけに訴える事しかやってこなかった管理組合が多いようです。
これだけでは、効果に限りがあります。マナーを訴えるのも大事ですが、整列させる機器の導入などの検討も必要でしょう。整列させるためのしかけもまた必要でしょう。
やがて、ある理事会は雑然とした駐輪場に業を煮やして「使用料」を取るという安易な方向で解決しようと考えます。

たしかに駐輪場に使用料を設定しているマンションもあります。
このようなマンションは大規模で世帯数の割には敷地面積が狭く、駐輪スペースも初めから少なく限定的な利用者にならざるを得ないという前提があります。そしてこのようなマンションでは規約でその旨が明示されています。
また、駐輪場のキャパを考慮して各世帯1代目は無料とし、2代目から使用料を徴収するというところがあります。

駐輪場は共有部分ですから、エレベーター利用と同じく利用者の頻度ではなく、皆が等しく利用できるという前提があっての付属物です。
当然に駐輪場は利用されるべきものという前提があるのに、使用料を設定して利用者のだけに負担を強いるのはおかしいのではないでしょうか。

理事会は各世帯に台数に関係なく一律に利用する自転車に使用料を徴収する案を総会に上程しました。残念にも漫然とした組合員は、この議案を可決しました。
しかし、雑然とした駐輪場の管理を具体化する検討もしないのに関わらず、安易に使用料を徴収すれば利用者が減るだろういう意図が見えます。

整列させる工夫を提案せず、駐輪場の管理をせずに安易に利用者を管理したにすぎません。
先ずは不要自転車の破棄から始まり、整列させるための機器導入の検討、使用最速の検討など、対処する方法はいくつもありますが、その過程を全部飛ばしてしまうことは理事会の適応力不足、不作為ともいえるのではないでしょうか。

ガラ空きになった駐輪場

 事実このマンションではその後、不要自転車の破棄した後、利用台数が激減して駐輪場がガラガラになってしまいました。
一部の利用者はお金をとられるぐらいならということで専有部分に保管するという人が増えたそうです。
駐輪場を利用したいとする人がいるものの、使用料を払うことに違和感を感じて駐輪場を嫌煙する人も少なくありません。
駐輪場を利用する人はキャパが充分にあるのにかかわらす、使用料を負担する羽目になっています。

せっかくの駐輪場が、使用料を徴収することで、利用者を減らす役目を担ってしまったという本末転倒の結果となってしまいました。
駐輪場の管理をせず、利用者を管理した本末転倒の例です。

正しいより親身であること

どこまで汗をかけるか


入居してから知るトラブル

 マンション住民からみた場合、頼りになる管理会社や理事会とはどのようなものでしょうか。
マンションを購入した人にとって、そのマンション立地、間取り、周辺環境、建物外観、仕様などマンションの建物と専有部分ばかりに目がいってしまうのはしょうがないことでしょう。
住み始めて時間もたてば「こんなはずじゃなかった」とか「こんなトラブルにまきこまれた」とかマンションならではの対隣人生活トラブルというものを経験することも少なくありません。マンションを購入するときはそのような問題など考えていませんでした。

 ご存じのとおりマンションは集合住宅ですから上下階と左右に隣人が住んでいます。
隣人は年代も違えば家族環境も違う。サラリーマンもいれば自営業の方もいる。昼に働いている人々ばかりではありません。夜働いている人も当たり前のようにいます。

生活様式のパターンも違えばその生活に対する様々な価値観も違います。
そんなお隣さん同士ですから、ゴミ出しのルールを守らない、床をドタバタ走ってうるさい、テレビの音がうるさい、ピアノだのギターだの夜中にうるさい、ベランダのタバコの煙が臭いだのとにかく隣人のことが気になるものです。

こんなはずじゃなかった

 気になる程度のものが、やがて苦痛にかわり、クレームとなって住民間のトラブルになってきます。こうなるとせっかく購入したマンションですから、自分が想う理想の生活環境を守ろうと頑張ってしまいます。自分は正しい、受忍限度を超えてる。私は被害者であるから加害者を正さなくてはならないというような軸方向に感情が向かってしまいます。

 みなさんのマンションにもこのような住民は少なからずいることでしょう。
いや、このような人を悪くいうつもりは全くありません。その逆です。
このような方が、ある日クレームとして管理会社や理事会に「なんとかしてください」と相談をもちかけたとしたら、あなたが管理会社の担当者、あるいは組合の理事長であればどうのように対処するでしょうか。

フロントの対応

 あなたが管理会社の担当者として
管理会社担当者Aの場合
 「マンション住民間、個々のトラブルは管理会社としては責任をとることができません。当事者同士で話し合ってください。」
 「いや、どこにでもあるんですよ。こういう問題。おたくだけじゃないんですよ。」
 「理事長さんに言ってください。うちじゃできません。そもそも委託契約外ですから」

 この担当者の返事は管理会社として判を押したような規定型のまっとうな回答です。たしかに委託業務契約に住民間のトラブルに介入するような職務はありません。言葉足らずと言えども、正しい答えといえばたしかにそうのようです。
 悪く言えば、金にならない仕事はしません。クレーマーまがいの電話をかけてくるなという感を出します。

管理会社担当者Bの場合
 「そのようなマンション住民間の個々のは管理会社としては責任をとることができません。しかし、住民間で話し合う場合、お互いの感情論になってしまうので、かえって問題を深くしてしまいます。なので管理組合の問題として提起しましょう。今度の理事会にそのような問題があることを理事会に報告いたします。事前に理事会の了承をとりますので、同席のうえ、そのようなトラブルに遭われた日時、症状など記録として資料をお持ちいただき話をを伺うことにしましょう。理事会と調整します。」

 管理会社が直接手を下して対処する用件ではなくとも、その用件は管理組合が対処するべきことを自然に誘導し、かつその人を理事会に入れて話しを聞く場を持たせることで、その人の顔をたてることができます。担当者は調整役に徹します。答えは出しません。


理事会の対応

 他方、管理会社ではなく、管理組合にこの問題を投げかけたいという場合。
管理組合のポストに相談依頼の文書を投函
理事会Aの場合
 理事A「また、〇〇さんから△△の件でクレームの投函がありました」
 理事B「これで3回目ですよ。ちゃんと話を聞いたほうがいいのではいないでしょうか」
 理事長「いや、彼は変わってますから。また話合ってもきりがないですよ。他の人からクレーマーに近い人だと聞いています」
 理事C「理事会で何度もこの問題をスルーしてますからね。それに対する当てつけかなとも思います」
 理事長「まぁ。今回も静観しましょう。そのうち、またおとなしくなりますよ。」

理事会Bの場合
 理事A「また、〇〇さんから△△の件でクレームの投函がりました」
 理事B「問題を先送りにしたのがまずかったようですね。」
 理事C「住民間のトラブルは管理組合の問題ですから、何かしらの解決策を模索しましょう」
 理事長「再度彼を読んで話を聞きましょう。管理組合の問題ですからね。理事会が第三者的な立場で住民間のトラブルに向き合っていきましょう」
 理事C「当事者の言い分に対し、理事会と一緒に対処案が出せるといいですね。」

どこまで汗をかけるか

やっぱり人間力 
契約あるは法に対し、正しいことだけ、誤っていないことだけを念頭において仕事をすれば、誰にでもそれなりの仕事はできます。でもプロはその周りを埋める仕事を躊躇しません。

正しい、誤りと答えを即答する前に、先ずは親身になることだと思います。答えはその人の人間力の中にあると思います。
おたくのマンションの管理会社、理事会はA?それともB?
管理会社、理事会がともにAの場合、先ずはお住まいのマンション管理士会にご相談してみてはどうでしょうか。

修繕積立金の余剰金分配はOK?

修繕積立金はどこに帰属するか


修繕積立金余剰金の分配提案

 とあるマンション組合員から相談がありました。
「理事会が修繕積立金は貯めすぎなので現区分所有者に分配したい」という議案を総会に出す予定だが、そもそも修繕積立金を分配することはできるますか?」という内容です。

修繕積立金の用途については標準管理規約28条
 1.一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
 2.不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
 3.敷地及び共用部分等の変更
 4.建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
 5.その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のためのに特別に必要となる管理とあります。この条文からは分配できるとは書いていません。実際どうなのでしょうか。

裁判にもなった事例

 知ってか知らずか、この条文を無視して総会に上程し、可決した管理組合がありました。この管理組合の規約には28条の条文があり、規約の変更はありません。
一部の組合員が28条に違反する旨を主張して平成23年東京地裁に訴訟を起こしました。

判決
1.議事録内容の瑕疵を認めるとともに、減額する意図であっても28条の取崩しの要件には該当せず、平等に返還する旨の主張は採用できない。
2.修繕積立金の使途は、マンションの修繕等に限定することである。みだりに修繕積立金から散逸することをできない。
という判決により分配を無効としました。

ある理事の発案で、返金という耳障りのよい話を住民にもちかけて、管理組合の財産を取り崩すしてしまったという悲しい事実です。

修繕積立金は修繕に用するお金です。修繕計画に沿った積立金の運用が図るために積立られるべきのものです。理事の一案で取崩しができるものではありません。
修繕積立金を散財したことで、管理組合の将来的な財政は楽観できないものとなってしまいました。
理事の見識の甘さが組合員を道ずれにした例です。

標準管理規約28条

 本当に計画のとおりに運用がしっかりされたうえで、剰余金で配分が可能となった場合、そしてそのお金を分配してさしつかえのないと判断するのであれば、先ずは28条の規約を改正して、余剰金を分配することができるという規約が新たに必要です。

この規約の変更なしでは修繕積立金の分配は規約に違反するものであり無効です。
新任した理事、理事長はどうも目に見える成果というものを欲し、誇示したがるものです。しかしそのおかげで組合員の大切な財産に穴をあけた。となっては責任問題を追及されてしかるべきでしょう。
組合員の決議があろうがその責任は理事会にあるというものです。
組合員は詳しいことを知りません。理事会の言うことを信用せざるを得ません。
そこに付け込んでミスリードを先導した理事会の過ちは大きいといえます。
こんなことがないように組合員も管理規約の周知を図り、理事会含めての運用面の適正化が図られます。

岡山市マンション管理実態調査

 マンション長寿化施策 マンション管理の行方が都市計画を左右させることは容易に想像できる。 マンション化率が30%を超える東京都心であれば、マンション施策は都市計画に直結する。 都心に限らず、中核都市、政令指定都市、自らマンション施策を発信している地方都市も少なくない。大なり小な...