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2022年6月17日金曜日

受益者負担

 機械式駐車場と受益者負担




修繕積立金に計上するだけでは不十分

 機械式駐車場の駐車料金代を管理費に全額計上している管理組合はまだ多く、修繕積立金の積立不足の大きな要因を占めている。その反省から駐車場代を機械式駐車場の管理に充てる他、その残りを修繕積立金に充てる管理組合もふえてきたようにも見える。

 ある管理組合は昨年度まで全額管理費に計上していたものを今期から振り分けて修繕積立金に充てる決議をした。遅まきながら修繕積立金を増やす方向に舵をきったその判断は正解だったと思う。しかしよく話を聞くと、単に修繕積立金に振り替えただけで帳簿上、一般の修繕積立金と機械式駐車場積立金との区分をせず、駐車場代がそのまま一般の修繕積立金の費目に計上していいることが分かった。したがって駐車場料金をいくら積み立てているかということが帳簿上で確認できない状況であった。

機械式式駐車場積立金

 機械式駐車場積立金の費目を設けるという事は、この積立金で機械式駐車場の修理代を補うという意味であり、この限りある積立金で機械式駐車場の補修メンテの面倒を見ていこうとするものだ。この積立金の残高、支出の動向と稼働率を掛けて、将来に向けて機械式駐車場の維持の可否の限界点を知ることができるが、その分岐点まで維持するのであれば、その維持費は駐車場代で徴収した機械式駐車場積立金でまかなうという性質なものである。
言い方を変えれば、機械式駐車場を利用している人達で機械式駐車場の維持をしていくということであり、駐車場を利用していない人は負担しないというのが原則である。
機械式駐車場は、法定共用部でも規約共用部でもなく、建物の付属物である。この付属物(施設)の利用は利用料を支払う事で管理されているので、区分所有者が一律に負担を強いる性質のものではなく、あくまでも利用者(受益者)が負担する性質のものである。

もっとも平置き駐車場と機械式駐車場を併用している管理組合の場合、機械式駐車場の利用を抽選と輪番とかで機械式駐車場を選択せざる得ない状況下と思われるので、平置き、機械式の利用者を問わず、機械式駐車場の維持の負担を分かち合うことになる。

受益者負担

 この機械式駐車場を一般的な修繕積立金にそのまま計上するということは、その修繕積立金から機械式駐車場を修理するという認識の上にたっている。
しかし駐車場を利用をしない区分所有者の立場からみるとこれは甚だ問題だと言わざるを得ない。
機械式駐車場の利便性に疑義を感じ利用することなく、その稼働率がやがて低くなっていくことは容易に想像できる。中心市街地なら車そのものを利用する必要性もなくなり、高齢化とともに車離れが加速していくことになる。その中で駐車場を利用せず、駐車場代を支払わない区分所有者もあるだろう。彼らが積立てた修繕積立金が利用しない機械式駐車場の修理のために多額な修理代に使われたとしたらどう思うだろうか。本来建物の修繕のために積立てられていると思っているのに、そのお金が機械式駐車場の修理に充てられては話が違うということになる。
これら徴収する専用使用料はどのような用途で使われるかを本来であれば規約で明文化しておく必要があるのは言うまでもない。この事は駐輪場で徴収する使用料と同じ意味を持つのかという議論になるが、前提条件(負担条件)が異なるので同等には考えられない。どちらも丁寧な説明が求められる。

駐車場を利用する人が積立てるのが機械式駐車場積立金であり、そのお金を費目別に修繕積立金と機械式駐車場積立金とに分けず、丸ごと修繕積立金に計上してしまうことにより受益者負担の原則が見えなくなってしまった例である。

2022年6月13日月曜日

機械式駐車場の会計

 増え続ける機械式駐車場のメンテ負担



増え続ける機械式駐車場

郊外で比較的敷地に余裕があるマンションでは、駐車場は全戸分平置きで用意されていることと思います。この光景に慣れている私はマンションというものは、おおよそ敷地内に平置きされているものが平均的なマンションの姿だと感じてました。しかし近年では、中心市街に限らず、郊外でも平置き+機械式駐車場という形態が浸透しつつあります。今では機械式駐車場を設置しなければマンションを建てることもできなくなっているようです。一般に商業地区で建設されるマンションの容積率上限で建設されたマンションでは、平置き駐車場は望むべくことなく、機械式駐車場が前提となってしまうのは当たり前になりつつあります。機械式駐車場もマンションの規模により、よりタワー化し複雑化していきます。

マンションを購入するとき、この機械式駐車場はある意味マンションの象徴のように映ったこともあることでしょう。だが、それはマンションを購入するまでの夢事のように映っていたことでしょう。誰も今後この機械式駐車場を維持するためのコスト負担で悩ますなど考えるべくもありません。

メンテナンスの基本は部品交換

 標準管理規約では駐車場などの専用使用料はその管理にかかる経費は管理費へ、残りは修繕積立金として計上することを謳ってます。平置き駐車の例をとれば、駐車場の管理といえば、白線とか輪留めとかが想定されますが通年予算化するほどの修理、補修も考えることはありません。しかし機械式駐車場であれば、メンテ代(基本料+油脂類/年)が想定されます。これらは予算化できる範囲なので管理費からおとすことを前提として予算化することはできます。しかし修理代金は部品単位でその人件費と併せて低額なものから高額なものまでとその差は大きく年間の予算額の設定することは非常に難しいのが現状です。メンテナンス業者の契約にもよりますが、経年劣化および可動部の劣化による対処は補修ではなく交換が前提となるため、例え小さな傷、ひびが入っていれば、安全面から補修ではなく交換を推奨していきますので、汎用的な部品ではないため部品代と人件費の対価はおおよそ高額になるのは必至です。これらは予算化できないので管理費から支払うことはできません。修繕積立金(機械式駐車場積立金)から支払います。

このことからメンテ代を管理費、修理代を積立金などの特別会計から支払うという前提ができていない管理組合では、今後機械式駐車場の修理費負担が管理費または修繕積立金を財政を逼迫させる要因になってしまいます。


機械式駐車場の会計

前述のとおり、駐車場の料金を一部管理にあてた後、残りを修繕積立金に振り替えた場合、今後は、この積立金から修理代を支払うという明確な意図が必要です。機械式駐車場の使用料支払ったお金は管理組合の修繕積立金(駐車場積立金)として積立られ、その支払いは機械式駐車場の修理、改修のためにしか支払うことができないという明確な意図がなければいけないということです。
また、修繕積立金に振り替えた後、帳簿上で一般の修繕積立金と機械式駐車場積立金とを別会計に費目を分けて設定することが望まれます、これを怠ると一般修繕積立金と機械式駐車場積立金がそれぞれいくら貯まっているかが判断できません。費目を分けて一般修繕積立金と機械式駐車場積立金がそれおそれいくら貯まっているか判別できるよう帳簿することが大切です。
また、駐車場専用使用料代金のうち全額を機械式駐車場の充てるのか、5対5の割合で一般修繕積立金と機械式駐車場積立金に振り分けるなどの操作を行い、一般修繕積立金も蓄えられるよう年度毎の状況で比率を変えればいいと思います。



岡山市マンション管理実態調査

 マンション長寿化施策 マンション管理の行方が都市計画を左右させることは容易に想像できる。 マンション化率が30%を超える東京都心であれば、マンション施策は都市計画に直結する。 都心に限らず、中核都市、政令指定都市、自らマンション施策を発信している地方都市も少なくない。大なり小な...