修繕積立金はどこに帰属するか
修繕積立金余剰金の分配提案
とあるマンション組合員から相談がありました。「理事会が修繕積立金は貯めすぎなので現区分所有者に分配したい」という議案を総会に出す予定だが、そもそも修繕積立金を分配することはできるますか?」という内容です。
修繕積立金の用途については標準管理規約28条
1.一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
2.不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
3.敷地及び共用部分等の変更
4.建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査
5.その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のためのに特別に必要となる管理とあります。この条文からは分配できるとは書いていません。実際どうなのでしょうか。
裁判にもなった事例
知ってか知らずか、この条文を無視して総会に上程し、可決した管理組合がありました。この管理組合の規約には28条の条文があり、規約の変更はありません。一部の組合員が28条に違反する旨を主張して平成23年東京地裁に訴訟を起こしました。
判決
1.議事録内容の瑕疵を認めるとともに、減額する意図であっても28条の取崩しの要件には該当せず、平等に返還する旨の主張は採用できない。
2.修繕積立金の使途は、マンションの修繕等に限定することである。みだりに修繕積立金から散逸することをできない。
という判決により分配を無効としました。
ある理事の発案で、返金という耳障りのよい話を住民にもちかけて、管理組合の財産を取り崩すしてしまったという悲しい事実です。
修繕積立金は修繕に用するお金です。修繕計画に沿った積立金の運用が図るために積立られるべきのものです。理事の一案で取崩しができるものではありません。
修繕積立金を散財したことで、管理組合の将来的な財政は楽観できないものとなってしまいました。
理事の見識の甘さが組合員を道ずれにした例です。
標準管理規約28条
本当に計画のとおりに運用がしっかりされたうえで、剰余金で配分が可能となった場合、そしてそのお金を分配してさしつかえのないと判断するのであれば、先ずは28条の規約を改正して、余剰金を分配することができるという規約が新たに必要です。この規約の変更なしでは修繕積立金の分配は規約に違反するものであり無効です。
新任した理事、理事長はどうも目に見える成果というものを欲し、誇示したがるものです。しかしそのおかげで組合員の大切な財産に穴をあけた。となっては責任問題を追及されてしかるべきでしょう。
組合員の決議があろうがその責任は理事会にあるというものです。
組合員は詳しいことを知りません。理事会の言うことを信用せざるを得ません。
そこに付け込んでミスリードを先導した理事会の過ちは大きいといえます。
こんなことがないように組合員も管理規約の周知を図り、理事会含めての運用面の適正化が図られます。
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