Powered By Blogger
ラベル 区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(前編) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(前編) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年5月25日日曜日

区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(前編)

 区分所有法改正のポイント


23年ぶりに改正となった背景は高経年マンションの増加に伴う管理方策の整備といことになる。マンション未来価値研究所のレポートから引用する。施行は2026年4月からなのでこの時期に各管理組合は規約改正ラッシュとなることだろう。
改正のポイントは大きく分けて3つ。
  1. 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策
    1-1.所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
    1-2.出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に
    1-3.共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で
    1-4.所有者不明 専有部分管理人
    1-5.管理不全 専有部分管理人
    1-6.管理不全共用部分管理制度
    1-7.その他
  2. 区分所有建物の再生の円滑化を図る方策
    2-1.建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-2.建物の更新(一棟リノベーション)
    2-3.新たな再生手法や解消制度等の導入
  3. 団地の管理・再生の円滑化を図る方策

1.区分所有建物の管理の円滑化を図る方策


1-1所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)

Q1:
Aは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。 
建替え決議では39人の区分所有者が建替えに賛成した。 
建替え決議は成立するか?
なお、区分所有者のうち1名は亡くなり、その相続人全員が相 続放棄していた。また別の1名は施設に入ったと聞くが住民票を移しておらずどこに行ったか分からない。

A1:
(現区分法)
•区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成多数であ れば成立。
• Aマンションでは、40人の賛成がなければ成立しない。
よって39人の賛成なので、不成立

(新区分法)
原則として、区分所有者及び議 決権の5分の4以上の賛成多数であれば成立。
•ただし、除外決定の制度がある。
• 2名の所有者は除外決定 により決議の分母から除外することができる。
•よって48人の5分の4 = 39人の賛 成により建替え決議は成立するため、39人の賛成により建替え決議成立

解説:
所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
所在等不明区分所有者がいる場合、裁判(非訟事件手続)により、決議の分母から除外する制度が新設された。所在等不明区分所有者=区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき管理者、管理組合法人、区分所有者個人が裁判所に申立てることができる。

1-2出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に

Q2:
Aマンションは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。規約改正を上程した総会では30人の区分所有者が出席し(委 任状•議決権行使書含む)、内23人の区分所有者が賛成した(全体の46%の賛成)。 規約改正は成立するか?

A2:
(現区分法)
•区分所有者及び議決権 の4分の3以上の賛成多 数であれば成立
• 23人/50人であるので、4分の3以上の賛成がな く不成立

(新区分法)
出席している区分所有者の 頭数及び議決権の4分の3以 上の賛成多数であれば成立。
•定足数は過半数。
• 30人が出席しているので定 足数を満たすので集会の成 立要件を満たす。
•  23人/30人(76%)である ので、出席者の4分の3 (75%)以上賛成多数であ り成立

解説:
区分所有権の処分を伴わない決議を対象に出席者多数決で決議できるとした。
出席者とは総会に参加し議決権を行使した者の他、委任状、議決権行使書も当然に含まれることに注意。
① 普通決議
② 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。以下同じ。)の決議
③ 復旧決議
@規約の設定•変更•廃止の決議
⑤ 管理組合法人の設立•解散の決議
⑥ 義務違反者に対する専有部分の使用禁止請求•区分所有権等の競売請求の決議及び専有部分の引渡し等の請求の決議
⑦ 管理組合法人による区分所有権等の取得の決議
建替え•解消のような区分所有権の処分を伴う決議は対象外 で定足数=頭数と議決権の過半数(普通決議以外)とした。併せて招集通知に議案の要領も記載しなければならない

総会決議の定足数
普通決議:区分所有法3 9条1項により普通決議の議決要件は規約により 緩和できるので、標準管理規約4 7条1項のままでもよい。
特別決議:改正法では、定足数は上乗せできるが、緩和できないので、標準管理規約の定足数の定めは無効となる。改正法の内容の定足 数で考えなければならない。

総会決議の決議要件
普通決議:区分所有法3 9条1項により普通決議の議決要件は規約により緩和できるので、標準管理規約4 7条2項のままでもよい
特別決議:管理規約と改正法のどちらが優先するか?という問題。法務省は特別決議について改正法 の出席者多数決を優先する趣旨と考えている可能性が高い。
そのため、特別決議の決議要件は、改正法と同じ出席者多数決に読み替える必要がある (現行のままの決議要件にすることはおそらくできない)

1-3共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で

Q3:
Aマンションは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。 建替え決議では39人の区分所有者が建替えに賛成した。ある住戸は決議前に区分所有者が死亡し相続人3名が相続した。 
建替え決議にあたって相続人の意見調整が図れず2名は賛成したが1名は反対であり、議決権行使者を指定できなかった。 
この1戸が賛成していれば40戸の賛成が得られた。建替え決議は成立するか?

A3:
(現区分法)
• 議決権行使者を共有者間でどのように定めるかは明文規定がな かった
•建替えの場合全員合意により議 決権行使者を指定(解釈)
よって2/3の賛成であるので議決権行使者か指疋で きない

(新区分法)
区分所有権の持分の過 半数の者により議決権行使者を指定できる 
• 2/3が賛成しており、2名により議決権行使者が指定できる。
よって40戸の賛成が得られているので建替え決議か成立する。

後編はこちら


マンション保険の見直し

  マンション保険のことを知ろう 昨今マンション保険の値上げが止まらない。5年毎の更新さえ忘れがち。気が付けば保険の更新時期となり見積金額をきいて思考停止になる事も多々あると聞きます。 今回は保険料見直しについて。 個人賠償責任保険(個賠) そこで今回は2023年倉敷市マンション...