時代に合わない区分所有法
区分所有法
この区分所有法ができた頃に建てられたマンションの現在の立ち位置はどのようなものだろうか。区分所有法によって守られた区分所有者の権利と引き換えに、区分所有法で縛られる自由もある。それはマンションの高経年化に伴う区分所有者の身の振り方であり、物理的なマンションの終わらせ方を示していないところである。
区分所有の終わらせ方
高経年マンションであり賃貸化が進み、管理組合も名ばかりで管理会社も手をひくような管理不全のマンションがこれから先増えることは容易に想定できる。売ることもできないマンションを抱えた区分所有者に対して管理を怠ったことへの自業自得と冷ややかな目を向けることは簡単だが、過程はどうであれ、結果として区分所有法は、社会資本であるマンションをスラム化を防ぐ縛りは設けても、合法的に区分所有権から離脱するというすべは何も示していない。区分所有がマンションを終わらせようにもその終わらせ方を区分所有法は何も示していない。
つまりこの法律によって、守られる権利もあれば、権利を意図的に放棄する自由もないことがジレンマとしてある。マンションという負の遺産から逃れるには売買により区分所有者から逃れること以外になく、マンションを放棄したい、区分所有権を放棄したいと考える区分所有者に応える法的なよろどころがないに等しく、今後マンション維持に要する資金もなく、また、管理不全のマンション売却することもできなくなって身動きができない区分所有者難民を生むことになる。
マンション建替えの幻想
高経年化のマンションの未来図を描く時にいつも話にあがるのはマンションを建て替えるという選択である。しかし「マンション建替え円滑法」もその合意形成の要件を緩和していくことになっても、建替えするという選択ができるマンションは果たしてどれくらい存在するだろうか。利便性があり、かつ容積率を緩和でき、デベロッパーも参加できるような立地条件、今後予想される高価値が認められ、なおかつ建替え費用を超える価値を見出すことができるマンションは都心でもごく稀である。一般的な郊外に並ぶマンションなどは殆ど建替えることはできないと言ってもいい。安易に建替えを検討する管理組合もあるが、聞けばほとんどが希望と理想を語っているにすぎない状況だ。
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