都会のマンション、中国・四国のマンション
【耐震と老朽化】
今回は耐震と老朽化についてです。旧耐震基準で建てられたマンションであれば、耐震診断は必至でしょうが、、新耐震基準(昭和56年以降)で建てられたマンションなら耐震診断を行わなくてもいいというわけでは決してありません。しかし実際にはその必要性を認識しながらも、経済的な理由で診断を躊躇している管理組合が多いことは容易に想像できます。
耐震診断の目的は、先ずは自分のマンションの耐震強度を知ることに尽きます。耐震改修ができる、できないに関わらず、まずは診断を行って、自分のマンションの現状を知ること重要です。どうせ改修しないから、診断は無駄だということにはなりません。
2021年長期修繕計画のガイドラインにも耐震診断は必要であると明記されたことから、今後この動向に注目されますが、行政からの助成金を含めた制度支援に期待したところです。
老朽化問題、例えば建替えなど論議は、よほど好条件に立地されているマンション以外、現実的には難しいでしょう。しかし今後建替えもしない、補修もしない高経年マンションが増えていく中、「マンションの終わらせ方」をいかに具体化させるのかが注目されます。
1.旧耐震基準と新耐震基準 (上段:回答数 下段:%)
| 合計 | 旧耐震基準 | 新耐震基準 | 不明 |
中国・四国 | 218 | 12 | 177 | 20 |
100 | 5.5 | 81.2 | 13.3 |
東京圏 | 362 | 125 | 220 | 17 |
100 | 34.5 | 60.8 | 4.7 |
京阪神圏 | 222 | 56 | 147 | 19 |
100 | 25.2 | 66.2 | 8.6 |
都市圏では筑古マンションも多く旧耐震基準のマンション率も多い。中国・四国は築浅マンションが多いため新耐震基準マンションの比率が高い。
2.耐震診断実施の有無及びその結果 (上段:回答数 下段:%)
| 旧耐震基準に基づき建設されたマンション管理組合 | 耐震基準として、耐震性があると判断された | 耐震愛診断をして、さらに詳細な耐震診断が必要と判定された | 耐震診断をして、耐震性がないと判定された | 耐震診断をしていない | 不明 |
中国・四国 | 12 | - | - | 1 | 10 | 1 |
100 | - | - | 8.3 | 83.3 | 8.3 |
東京圏 | 125 | 17 | 11 | 25 | 70 | 2 |
100 | 13.6 | 8.8 | 20.0 | 56.0 | 1.6 |
京阪神圏 | 56 | 11 | 2 | 3 | 39 | 1 |
100 | 19.6 | 3.6 | 5.4 | 69.6 | 1.8 |
旧耐震基準で建てられたマンションはほぼ、耐震診断を行っていない。
3.耐震性がないと判定されたマンションの耐震改修の実施の有無
(上段:回答数 下段:%)
| 耐震性がないと判定された管理組合合計 | 実施した | まだ実施していないが今後実施する予定 | 実施する予定はない | 不明 |
中国・四国 | 1 | 1 | - | - | - |
100 | 100.0 | - | - | - |
東京圏 | 25 | 10 | 7 | 7 | 1 |
100 | 40.0 | 28.0 | 28.0 | 4.0 |
京阪神圏 | 3 | 2 | - | 1 | - |
100 | 66.7 | - | 33.0 | - |
耐震診断後、改修済、改修予定を含めると過半数を超える割合となる。関東圏は地震には敏感なのだろうか
4.耐震診断を行っていない理由(重複回答) (上段:回答数 下段:%)
| 耐震診断を行っていない組合合計 | 現在検討中または今後行う予定である | 予算がないため耐震診断を行っていない | 組合員の反対があり、耐震診断を行っていない | 耐震診断をどこへ頼めばいいのか分からない | これまで考えたことはない | 不明 |
中国・四国 | 10 | 2 | 3 | - | - | 3 | 2 |
| 20.0 | 30.0 | - | - | 30.0 | 20.0 |
東京圏 | 70 | 28 | 24 | 4 | 1 | 13 | 4 |
| 40.0 | 34.3 | 5.7 | 1.4 | 18.6 | 5.7 |
京阪神圏 | 39 | 5 | 19 | 3 | 2 | 12 | 1 |
| 12.8 | 48.7 | 7.0 | 5.1 | 30.8 | 2.6 |
理由は、耐震診断の予算がないのと同時に改修する予算がないから「検討中」としているところも考えられる。
5.耐震性についての考え(区分所有者向けへの質問) (上段:回答数 下段:%)
| 合計 | 比較的新しく耐震性が確保しているので心配していない | 耐震性が確保されているかわからないので心配だ | 大規模な地震の場合は被害を受けると思うので心配だ | 地震の不安はあるが今のままで仕方ない | 考えたことがない | 不明 |
中国・四国 | 437 | 211 | 53 | 68 | 81 | 14 | 10 |
100 | 48.3 | 12.1 | 15.6 | 18.5 | 3.2 | 2.3 |
東京圏 | 673 | 298 | 64 | 121 | 163 | 19 | 8 |
100 | 44.3 | 9.5 | 18.0 | 24.2 | 2.8 | 1.2 |
京阪神圏 | 426 | 187 | 41 | 81 | 104 | 9 | 4 |
100 | 43.9 | 9.6 | 19.0 | 24.4 | 2.1 | 0.5 |
都市圏では不安・心配と感じる人は過半数を超えるが中国・四国は心配ないと感じる人の比率の方が多い。過去の記憶と地震の警戒感がそうさせるのだろうか
6.老朽化問題についての対策の論議の有無 (上段:回答数 下段:%)
| 合計 | ある | ない | 不明 |
中国・ 四国 | 218 | 65 | 138 | 15 |
100 | 29.8 | 63.3 | 6.9 |
東京圏 | 362 | 160 | 194 | 8 |
100 | 44.2 | 53.6 | 2.2 |
京阪神圏 | 222 | 77 | 133 | 12 |
100 | 34.7 | 59.9 | 5.4 |
築古マンションが多い関東圏は、老朽化対策あり、なしの比率が拮抗している。
7.老朽化問題についての議論の方向性 (上段:回答数 下段:%)
| 老朽化問題について対策を議論したことがある組合合計 | 建替え等の方向で議論し、具体的な検討をした | 修繕・改修の方向で議論し、具体的な検討をした | 建替え等の方向、修繕・改修の方向の両面で議論し、建替え等の方向で具体的な検討をした | 建替え等の方向、修繕・改修の方向の両面で議論し、修繕・改修の方向で具体的な検討をした | 議論はしたが、具体的な検討をするに至ってない | 不明 |
中国・四国 | 65 | - | 34 | 1 | 1 | 28 | 1 |
100 | - | 52.3 | 1.5 | 1.5 | 43.1 | 1.5 |
東京圏 | 160 | 1 | 75 | 6 | 16 | 57 | 5 |
100 | 0.6 | 46.9 | 3.8 | 10.0 | 35.6 | 3.1 |
老朽化しても、建替えの議論よりも修繕・改修の方向で議論が進んでいる。現実的にはこうならざるを得ない。
次回はトラブル編の予定です
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