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2025年6月10日火曜日

マンション保険の見直し

 

マンション保険のことを知ろう


昨今マンション保険の値上げが止まらない。5年毎の更新さえ忘れがち。気が付けば保険の更新時期となり見積金額をきいて思考停止になる事も多々あると聞きます。
今回は保険料見直しについて。

個人賠償責任保険(個賠)

そこで今回は2023年倉敷市マンションセミナーにて講師を務めたレジメを記事を掲載。要点は個人賠償責任保険(個賠)をマンション総合保険から外す事により保険料を削減するというものです。
管理費の削減に頭を悩ます管理組合もあるが、こと保険のことは眼中にないことが見受けられます。しかし高額の保険料を見直して管理費総額を削減することはあまり関心がないようで勿体ない状況です。検討の価値あると思うのだが。























2025年5月26日月曜日

区分所有法改正2025/3.団地の管理・再生の円滑化

 3.団地の管理・再生の円滑化を図る方策


団地関係に区分所有の規定を準用し、読み替える規定が表の形で整備された(新区分所有法6 6条)。 
6 8条規約の設定要件の変更(拡張的団地関係形成の要件の変更)
専有部分のある建物を団地管理対象物とする場合の各棟の決議要件にっいて、出席者多数決とした。

3-1.団地一括建替えの全体要件と各棟要件の緩和

Q3-1:
F団地は、5棟(1棟あたり10戸、1住戸1議決権)、全50戸の団地型 マンションである。
同団地では、団地一括建替え決議が行われ41戸の区分所有者、かつ、土地の共有持分の5分の4以上の賛成を得られた。
各棟の賛否の状況としては、うち4棟は9名の区分所有者が賛成している。
しかし、1棟については、5名が賛成し、3名が反対し、2名は棄権という状況であった。団地一括建替え決議は成立するか。

A3-1:
(現区分法)
•各棟要件は頭数及び議決権の各3 分の2 以上の賛成が必要
• 5 名の賛成なので、3分の2 (7名)以上の賛成の要件を満たさない。
団地一括建替え決議不成立

(新区分法)
•各棟要件は頭数及び議決権の各3 分の1 以上の反対がないこと(新区分所有法7 0 条1 項)
• 3名の反対であるので、3分の1(4名)以上の反対がない、という要件を満たす。
団地一括建替え決議成立

解説:
原則:区分所有者の頭数及び議決権(土地の持分割合)の各5分の4以上の賛成(新区分所有法7 0条1項)
例外:客観的な緩和事由があるすべての棟にある場合には各4分の3以上の賛成により成立(新区分所有法7 0条2項)
各棟要件
各棟の区分所有者の頭数及び議決権(共用部分の持分割合:規約で別段の定めがあればそれによる)の3分の2以上の賛成 
—新区分所有法70条1項ただし書:頭数及び議決権の3分の1以上の反対がないこと

団地内建物(特定建物)の建替えの際には、団地管理組合における建替え承認決議が必要(区分所有法6 9条)。決議要件は、議決権(土地の共有持分)の4分の3以上の賛成。
これまで実例はほどんどないが、今後マンションの高経年化•老朽化が進行していくことが見込まれることから、特定建物の建替えを行うニーズが高まると想定され、特定建物の建替えの円滑化の必要性がある。
一括建替え決議否決後に、一部の区分所有建物の区分所有者がその建物の建替えだけでも行いたいとするケースも想定される。
基本的多数決割合は、議決権の4分の3以上とすることを維持しつつ(新区分所有法6 9条1項)、特定建物に客観的な緩和事由がある場合には、3分の2に緩和(同条8項)。 
また、出席者多数決の対象にもする(同条1項)。

3-2.団地内建物•敷地の一括売却

Q3-2:
G団地は、立地や地価を踏まえると、一括建替えを実施することは難しいと判断し、団地全体の区分所有建物と敷地を一括で売却することを検討している。
区分所有法が改正された場合、団地内の建物と敷地を一括で売却することができるか。

Q3-2:
現行法では、団地内の建物と敷地を一括で売却するには、民法の共有のルールにしたがい(また区分所有権については個別の処分)、区分所有者全員の同意が必要となる。
特別団地関係における新たな再生の選択肢として、団地内建物の一括建替え決議と同様の決議要件により、団地内の全ての建物と敷地を一括して売却するという制度を導入(新区分所有法71条)。





区分所有法改正2025/2.再生の円滑化

 2.区分所有建物の再生の円滑化を図る方策

背景
  • マンンションストック数 約704万戸、築40年以上のマンション約140万戸(2023年末) 
  • マンション建替えの実績297件•約2万4千戸(2024年4月1日時点) 
  • マンション敷地売却の実績11件•約700戸(2024年4月1日時点)
 高経年マンションは今後急増。所有者不明等による合意形成の困難化も2020年7月17日閣議決定「規制改革実施計画」において建替えの円滑化(建替え要件の緩和•所有者不明の者を決議の分母から除く制度)が検討 課題に盛り込まれていた。

2-1.建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求

Q2-1A:
Dマンションは、建替えを検討している。ここは旧耐震基準により建てられた昭和50年築のマン ションで、Is値(耐震指数)は0.6未満である。耐震補強工事を行った上で、長寿命化を図っていくことも検討したが、耐震補強工事を行うよりも「建替え派」の方が多数なので、まずは、いわゆる 「建替え推進決議」を行おうと考えている。
理事長は、建替え推進決議に先立って、将来的に建替え決議を 行うのであれば多数決要件がどの程度なのか調べたところ、 区分所有法の改正の動きを知り、改正後の多数決割合を知りたいと考えている。

A2-1A:
(現区分法)
区分所有者及び議決権の5 分 の4以上の賛成多数であれば 成立

(新区分法)
原則:区分所有者の頭数及び議決権の各5分の4以上の多数決のルールが維持される(新区分所有法 62条1項(旧区分所有法と同じ))
例外:多数決要件を緩和する事由(客観的な緩和事 由)を満たす場合には区分所有者の頭数及び 議決権の各4分の3以上の多数決により成立(新区分所有法62条2項)

解説:
建替え決議の緩和
建替え決議
原則 区分所有者の頭数及び議決権の各5分の4以上の多数決(新区分所有法6 2条1項)
例外多数決要件を緩和する事由(客観的な緩和事由)を満たす場合には各4分 の3以上の多数決により成立(新区分所有法6 2条2項)客観的な緩和事由=旧マンション建替え等円滑化法(現行法)の要除却 認定の要件と同様のもの(ただし、要件緩和の前提として特定行政庁による要 除却の「認定」は不要)

5つの客観的な緩和事由(具体的な基準は法務大臣が定め る)(新区分所有法6 2条2項)
①耐震性の不足(Is値が0.6未満のもの)
②火災に対する安全性の不足(建築基準法令の規定不適合)
③外壁等の剥落により周辺に危害を及ぼすおそれ
④給排水管の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
⑤バリアフリー基準への不適合

Q2-1B:
Q2-1の数年後、Dマンションでは、建替え決議が成立し た。同決議成立前から501号室に居住している賃借人は、「建替えが実施されても自分は退去しない。 ずっと部屋に居るつもりだ」と主張しています。 建替えに賛成した501号室の区分所有者やその他の 建替え参加者は、501号室からの退去を求めることができるでしようか。

A2-1B:
501号室の区分所有者建替え参加者は、賃借人 に対して、賃貸借の終了請求をすることができる。
終了請求後6力月経過で501号室の賃貸借契約は終了する。ただし、賃貸人である501号室区分所有者は賃借人に対し補償金を支払 わなければならず、終了請求を賃貸人以外の建替え参加者等が行った 場合には、その者も連帯責任を負う

解説:
①建替え決議に賛成した各区分所有者
②建替え決議の内容によリ建替えに参加する旨を回答した区分所有者 (これらの承継人を含む)
③ これらの者の全員により指定された者
④賃貸人である区分所有者
賃貸借の終了請求後、6力月を経過すると賃貸借が終了する(同条2項)。
賃貸人は、賃借人に対し、賃貸借の終了により通常生ずる損失の補償金を支払わなければな 
らない(同条3項)。また、請求した者は賃貸人と連帯責任を負う(同条4項)。
明渡しと補償金の支払いは同時履行の関係に立つので、賃借人は補償金の支払を受けるまで 
は明渡しを拒むことができる(同条5項)。

2-2.建物の更新(一棟リノベーション)

Q2-2:
Eマンションでは、自己負担額の多い建替えではなく、 それを抑えられる可能性のある建替えに代わる工法を 探している。
同マンションの区分所有者は「一棟リノベーション」 という方法によれば、建替えと同様の効果が得られる 上、費用も抑えられる可能性があると知って、これを 実施したいと考えている。全員の同意を得なければこ の工事は進められないのでしようか。

A2-2:
建物の更新=建物の構造上主要な部分の効用の維持又は回復(通常有すべき効用の確保(=現状維 持にとどまらない積極的に価値を増進させるような改修)を含む。)のために共用部分の形状の変 更をし、かつ、これに伴い全ての専有部分の形状、面積又は位置関係の変更をすることをいう(新 区分所有法6 4条の5第1項)。
建物全体をスケルトンにして、専有部分の形状等を組み替える工事を想定。建替え要件と同様の要件で実施できる。
専有部分の形状等を変える工事であるので、従来は、全員同意が必要であった。改正法 によればこれを多数決決議ぐ※)で行うことができるようになる。

2-3新たな再生手法や解消制度等の導入

建替えと同様の決議要件(原則4/5、緩和事由あり3/4)により 以下の決議が可能となった。
① 建物敷地売却決議(新区分所有法6 4条の6 )
②建物取壊し敷地売却決議(同法6 4条の7 )
③取壊し決議(同法6 4条の8)
これまではマンション建替え等円滑化法のマンション敷 地売却により特定要除却認定+4/5決議により区分所有 関係の解消をしていたが、特定要除却認定を受けずに解 消決議ができる

次回

2025年5月25日日曜日

区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(後編)

 

区分所有法改正のポイント

区分所有法改正のポイント三つ
  1. 区分所有建物の円滑化を図る方策
    1-1.所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
    1-2.出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に
    1-3.共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で
    1-4.所有者不明 専有部分管理人
    1-5.管理不全 専有部分管理人
    1-6.管理不全共用部分管理制度
    1-7.その他
  2. 建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-1.建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-2.建物の更新(一棟リノベーション)
    2-3.新たな再生手法•解消制度の導入
  3. 団地の管理・再生の円滑化を図る方策
    3-1.団地一括建替えの全体要件と各棟要件に緩和
    3-2.団地内建物・敷地の一括売却
前編に引き続き、今回は1.区分所有建物の再生の円滑化の後編(1-4~1-7)についての解説

1.区分所有建物の管理の円滑化を図る方策
(後編1-4~1-7)


1-4.所有者不明 専有部分管理人

Q1-4:
Aマンションの301号室の区分所有者が死亡し、相続人 全員が相続放棄をしました。
同人死亡後301号室の管理費は3年間滞納状態にありま す。
Aマンションの管理組合は、当該住戸から滞納管理費を 回収したいと考えています。
どうすればよいでしょうか。

A1-4:
所有者不明専有部分管理人の選任が可能になった。
(必要な調査を尽くした上で)区分所有者を知ることができず(相続人全員の相続放棄等)、またはその所在を知るこ とができない場合、利害関係人が裁判所に申し立てることで、裁判所が、専有部分(共用部分、敷地利用権等も含む) の管理人(所有者不明専有部分管理人)を選任する制度が創設される。
専有部分の管理不全、マンション全体への悪影響を防ぐため。 また、専有部分が流通に供されないという 不利益が生ずる。

新たな制度の必要性•「物」単位の財産管理人の創設
利害関係人:他の区分所有者、専有部分の共有者の一部が不明である場合の共有者、 
管理者、管理組合法人、購入計画に具体性がある場合の購入希望者など
財産管理人候補者:弁護士、司法書士、当該マンションの管理者、管理業者等

1-5.管理不全 専有部分管理人

Q1-5:
Aマンションの401号室は大量にたまったゴミのた めに悪臭を発しており、水道管からの水漏れも発生 しています。
管理組合としては、どのような対応がとれるで しょうか。

A1-5:
専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、また は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、 管理不全専有部分管理人を選任することができる。
利害関係人:管理不全によって権利•利益の侵害を受け、または受けるおそれのある者(区分所有者も 周辺住民も含まれる。管理者•管理組合法人も含まれることが想定されている)
■申立権者:利害関係人
■専有部分の管理が不適当であることによって権利又は法律上保護され利益が侵害され、侵害されるおそれがある者 
■要件:
① 区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又 は侵害されるおそれがある場合
②必要があると認めるとき
■必要があるとみとめるとき
-管理不全専有部分管理人による管理を命ずることが必要かつ相当である場合。管理がされていない、管理されている ものの不十分である場合など。
■管理対象物:
①専有部分(または専有部分の共有持分)
②専有部分•共用部分•附属施設•建物の敷地にあり、かつ管理不全専有部分の区分所有者が所有する動産
③共用部分に関する権利
④ 附属施設に関する権利
⑤敷地利用権
⑥売却等の結果得た財産(価値転化物)

1-6.管理不全共用部分管理制度

Q1-6:
Bマンションは、外壁のコンクリートが爆裂し 剥落しています。
今後も剥落が継続的に発生しそうです。 
同マンションでは管理者が選任されておらず、 集会も開催されていないようです。
周辺住民としては、どのような対応をとることができるでしょうか。

A1-6:
管理不全共用部分管理人の選任が可能になった。
共用部分の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、 または侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求に より、管理不全専有部分管理人を選任することができる。
利害関係人:管理不全によって権利•利益の侵害を受け、または受けるおそれのある者(主に周辺住民が想定されるが、区分所有者による申立ても排除されてい ない)
管理不全共用部分管理人の権限:保存行為、管理不全共用部分の性質を変えない範囲において、その利用又は改良を目的とする行為

申立権者:利害関係人
■共用部分の管理が不適当であることによって権利又は法律上保護され利益が侵害され、侵害されるおそれがある者 
■要件:
① 区分所有者による共用部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又 は侵害されるおそれがある場合
② 必要があると認めるとき(新区分所有法4 6条の13) 
■必要があるとみとめるとき
■管理不全専有部分管理人による管理を命ずることが必要かつ相当である場合。管理がされていない、管理されてい るものの不十分である場合など。
■管理対象物:
①共用部分(または専有部分の共有持分)
②共用部分にあり、かつ共用部分の所有者が所有する動産
•マンション(区分所有建物)の解体をするには、共用部分の共有者全員の同意が必要 
•管理不全共用部分の管理に係る費用及び管理人の報酬の支払義務は、共用部分の 共有者が連帯して負担する

1-7その他

管理組合法人の規定と管理組合法人による専有部分•近隣土地の取得
管理組合法人による専有部分•近隣土地の取得
1.管理組合法人は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために必要 な場合には、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以 下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合 にあっては、その割合以上)の者であって議決権の過半数(これを上回る割 合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、 出席した区分所有者及びその議決権の各4 分の3 以上の多数による決議をす ることによって、当該建物の区分所有権又は当該建物及び当該建物が所在す る土地と一体として管理若しくは使用をすべき土地を取得することができる。
 
2 管理組合法人は、前項の規定により区分所有権を取得した場合であって も、第3 8 条の規定にかかわらず、当該管理組合法人の集会における議決権 を有しない。

次回は

区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(前編)

 区分所有法改正のポイント


23年ぶりに改正となった背景は高経年マンションの増加に伴う管理方策の整備といことになる。マンション未来価値研究所のレポートから引用する。施行は2026年4月からなのでこの時期に各管理組合は規約改正ラッシュとなることだろう。
改正のポイントは大きく分けて3つ。
  1. 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策
    1-1.所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
    1-2.出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に
    1-3.共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で
    1-4.所有者不明 専有部分管理人
    1-5.管理不全 専有部分管理人
    1-6.管理不全共用部分管理制度
    1-7.その他
  2. 区分所有建物の再生の円滑化を図る方策
    2-1.建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-2.建物の更新(一棟リノベーション)
    2-3.新たな再生手法や解消制度等の導入
  3. 団地の管理・再生の円滑化を図る方策

1.区分所有建物の管理の円滑化を図る方策


1-1所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)

Q1:
Aは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。 
建替え決議では39人の区分所有者が建替えに賛成した。 
建替え決議は成立するか?
なお、区分所有者のうち1名は亡くなり、その相続人全員が相 続放棄していた。また別の1名は施設に入ったと聞くが住民票を移しておらずどこに行ったか分からない。

A1:
(現区分法)
•区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成多数であ れば成立。
• Aマンションでは、40人の賛成がなければ成立しない。
よって39人の賛成なので、不成立

(新区分法)
原則として、区分所有者及び議 決権の5分の4以上の賛成多数であれば成立。
•ただし、除外決定の制度がある。
• 2名の所有者は除外決定 により決議の分母から除外することができる。
•よって48人の5分の4 = 39人の賛 成により建替え決議は成立するため、39人の賛成により建替え決議成立

解説:
所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
所在等不明区分所有者がいる場合、裁判(非訟事件手続)により、決議の分母から除外する制度が新設された。所在等不明区分所有者=区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき管理者、管理組合法人、区分所有者個人が裁判所に申立てることができる。

1-2出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に

Q2:
Aマンションは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。規約改正を上程した総会では30人の区分所有者が出席し(委 任状•議決権行使書含む)、内23人の区分所有者が賛成した(全体の46%の賛成)。 規約改正は成立するか?

A2:
(現区分法)
•区分所有者及び議決権 の4分の3以上の賛成多 数であれば成立
• 23人/50人であるので、4分の3以上の賛成がな く不成立

(新区分法)
出席している区分所有者の 頭数及び議決権の4分の3以 上の賛成多数であれば成立。
•定足数は過半数。
• 30人が出席しているので定 足数を満たすので集会の成 立要件を満たす。
•  23人/30人(76%)である ので、出席者の4分の3 (75%)以上賛成多数であ り成立

解説:
区分所有権の処分を伴わない決議を対象に出席者多数決で決議できるとした。
出席者とは総会に参加し議決権を行使した者の他、委任状、議決権行使書も当然に含まれることに注意。
① 普通決議
② 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。以下同じ。)の決議
③ 復旧決議
@規約の設定•変更•廃止の決議
⑤ 管理組合法人の設立•解散の決議
⑥ 義務違反者に対する専有部分の使用禁止請求•区分所有権等の競売請求の決議及び専有部分の引渡し等の請求の決議
⑦ 管理組合法人による区分所有権等の取得の決議
建替え•解消のような区分所有権の処分を伴う決議は対象外 で定足数=頭数と議決権の過半数(普通決議以外)とした。併せて招集通知に議案の要領も記載しなければならない

総会決議の定足数
普通決議:区分所有法3 9条1項により普通決議の議決要件は規約により 緩和できるので、標準管理規約4 7条1項のままでもよい。
特別決議:改正法では、定足数は上乗せできるが、緩和できないので、標準管理規約の定足数の定めは無効となる。改正法の内容の定足 数で考えなければならない。

総会決議の決議要件
普通決議:区分所有法3 9条1項により普通決議の議決要件は規約により緩和できるので、標準管理規約4 7条2項のままでもよい
特別決議:管理規約と改正法のどちらが優先するか?という問題。法務省は特別決議について改正法 の出席者多数決を優先する趣旨と考えている可能性が高い。
そのため、特別決議の決議要件は、改正法と同じ出席者多数決に読み替える必要がある (現行のままの決議要件にすることはおそらくできない)

1-3共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で

Q3:
Aマンションは、50戸のマンション(1住戸1議決権)である。 建替え決議では39人の区分所有者が建替えに賛成した。ある住戸は決議前に区分所有者が死亡し相続人3名が相続した。 
建替え決議にあたって相続人の意見調整が図れず2名は賛成したが1名は反対であり、議決権行使者を指定できなかった。 
この1戸が賛成していれば40戸の賛成が得られた。建替え決議は成立するか?

A3:
(現区分法)
• 議決権行使者を共有者間でどのように定めるかは明文規定がな かった
•建替えの場合全員合意により議 決権行使者を指定(解釈)
よって2/3の賛成であるので議決権行使者か指疋で きない

(新区分法)
区分所有権の持分の過 半数の者により議決権行使者を指定できる 
• 2/3が賛成しており、2名により議決権行使者が指定できる。
よって40戸の賛成が得られているので建替え決議か成立する。

後編はこちら


2025年5月18日日曜日

<管理NOTE>

このコラムは加藤マンション管理士のHP、管理NOTEから転載しています


 1 自主管理マンションと会計


自主管理マンションで管理運営されている皆様ご苦労様です!

 収納・会計の煩雑さにご苦労はありませんか。特に会計担当を属人化して任せっきりのままにすると将来的に事故など問題を抱える可能性があります。
収納・会計はできればプロに頼るか、専用アプリを使って誰もが可視化できるようにすることをお勧めします。



2 管理会社任せにしない


管理会社と管理組合の契約は請負契約ではなく、委託契約であることに再確認しましょう。
委託契約外のことを管理会社に求めてはいないでしょうか。
管理の主体はあくまでも管理組合です。
契約外、対価以上のものを管理会社に求めて関係を悪化させないようにしたいものです。



3 管理組合の運営は手続きの透明性と可視化から

手続きのルールが曖昧であれば誤解と混乱をおこします。運営上のルール(管理規約)の再確認をしましょう。組合員と共通の言語(管理規約)があって初めて組織として体を成します。そして運営が誰もがチェックできるよう可視化することに努めましょう。
(岡山・倉敷 加藤マンション管理士事務所)


このコラムは加藤マンション管理士のHP、管理NOTEから転載しています


2025年3月27日木曜日

☆自己紹介☆

自己紹介


こんにちは!
加藤典保といいます。
岡山県マンション管理士会で副会長やってます!
マンション居住歴30余年でもあります。
マンション管理士と名乗ってもマンションに住んだことがないマンション管理士とは一線を画します(笑)
あなたのマンションについてのお悩みや相談など困りごとがありましたらご相談承ります。
先ずはメールにてご相談下さい。HPも覗いてみて下さい!



実績

自主管理マンションの再構築
・管理規約4改訂
・管理費・修繕積立金見直し
・工事選定業務 等
一般マンション管理組合
・規約改定案作成
・長期修繕計画見直し
・管理費・修繕積立金見直し
・機械式駐車場経費見直し
・理事会運営再構築
・大規模修繕計画手続き
・資産価値向上に努める諸業務
・一般相談業務
公益活動
・岡山市定例マンション管理無料相談会
・岡山市マンション管理士派遣制度受託
・倉敷市マンション管理士派遣制度受託
・倉敷市マンション管理セミナー講師(2023年)
・岡山市市民活動支援アドバイザー

サービス案内

一般相談業務
理事会、管理組合向け勉強会
役員〈監事等)就任による理事会活性化と運営最適化業務
顧問業務
管理計画認定制度の認定マンション取得するまで指導と実務
マンション管理適正化診断業務(日管連)

マンション管理士

日本マンション管理士連合会(日管連)岡山県会副会長
・認定マンション管理士
・診断マンション管理士
管理組合損害補償金給付制度加入
管理計画認定制度認定審査官
・管理適正評価制度(マンション管理業協会)チェックサポーター

目指すもの

マンションの管理は様々です。大規模から小規模、複合型から担当型、団地型と規模も築年数も違うなどマンションといってもいろいろな形態があります。
これら様々であるマンションも管理が一様に同じであるはずはありません。

教科書的な耳障りの良いマンション管理というものは現実的ではなく、目指すのはそれぞれのマンションに合ったマンション管理の最適解にあります。
潤沢な資金があるマンションはその資金を活用して管理をめざしますが、残念ながら資金に余裕がないマンションは資金計画を策定して充当できる資金を有効に活用することを重きを置くことななります。

このバランスをとる作業が管理の最適解で、中からはなかなか見えることではなく、外から第三者的な視点が必要になることでしょう。
そんなお手伝いができるマンション管理士としてご用命ください。

マンション保険の見直し

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