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2024年4月16日火曜日

岡山市マンション管理実態調査

 マンション長寿化施策

マンション管理の行方が都市計画を左右させることは容易に想像できる。
マンション化率が30%を超える東京都心であれば、マンション施策は都市計画に直結する。

都心に限らず、中核都市、政令指定都市、自らマンション施策を発信している地方都市も少なくない。大なり小なり国の施策に倣い横並びの感が否めないが、もはやマンションを抜きにしては都市計画は語れない。マンション施策の底上げが急務であることには変わりない。
また、高経年化するマンションを管理不全にさせない。高経年マンションの長寿化施策のためにと直接、間接に介入するのも行政に仕事であろうかと思う。


岡山市マンション管理実態調査

2022年4月管理適正化法改正にて行政が必要に応じて管理不全予備軍のマンション管理組合に指導、助言、勧告等をおこなうことができるとしている。実際には、長寿化を促すための高経年マンションの管理実態を把握していても、実務的な改善案に促すことができるほどマンパワーが揃っているとは思えない。また横連携も希薄だ。
そもそもマンション管理組合を対象とした実態調査自体の資料があるのか、ないのかが分からないという問題がある。行政が市内マンションの管理状況をどこまで把握しているのか、把握していないのか、把握していても手が出せないのか、問題が表面化していない認識で蓋をしているのか。答えがわからないことが問題だと思っている。

岡山市が公表しているマンション関係に実態調査資料といえば、2012年岡山市が岡山大学に委託したレポートがあるのみ。もう12年も前のことだ。

  ・2012年岡山市におけるマンション管理の実態調査結果報告

これ以降、岡山市内のマンション管理組合の管理内容関する統計資料は公表されていない。
いや、正確には持っていても公表はしていない。

 ・2021年岡山市分譲マンション管理実態調査

そして、2012年の実態調査資料、2021年の実態調査のに関する内容の記述は、
最近市のHPから消えた。偶然だろうか。


公表してからが始まり
-自分のマンションを知る-

マンションの実態調査の結果を公表することで、自分のマンションの立ち位置を知ることが出来る。管理組合にとってこの情報は非常にインパクトがある。自分のマンションを比較して知ることで管理意識向上のインセンティブを与えるきっかけになり得る。これを機に関係団体との横連携を促すきっかけにもなるかもしれない。公表することで官民がマンション管理を語る土俵が出きるかもしれない。公表の意義は大きい。

岡山市内マンション化率は北区では14%ほどある。この地域だけ突出している。中心地のコンパクトシティ化は街をマンション化を促す施策でもある。
高経年マンションの長寿化を促すためにも、管理不全マンションをださせないためにも、岡山市のマンション管理実態調査を早急に行い、公表し、マンション施策について語られるように土俵を作ってもらいたいものだ。


実態調査を行うにあたり岡山県マンション管理士会もそのお手伝いができるものと思う。
部分委託など調査、分析の一端を担う団体として行政との連絡を密にとりたいと思う。

2024年4月14日日曜日

2023年度マンション総合調査

 R5年度国交省マンション総合調査はじまる

前回2018年度マンション総合調査から5年。5年に一回にあたる2023年10月から2023年度マンション総合調査が始まっている。
サンプル数の増減は定かではないが、毎回総合調査の後、その分析を受けて何某らの管理ガイドラインが改定されるのが常である。今回の調査結果により、また修繕積立金ガイドラインが変更になることだって想定される。700万ストックを数え、高経年化と高齢化が進むマンションが際立ってくる調査になるのではないだろうか。


2018年度総合調査のもたらしたものは

2018年以前のマンション総合調査では築30年未満の長計30年資料をベースに維持修繕費用から修繕積立金の平均額を求めた。これを築年数に限らず全てのマンションの適合させ修繕積立金の平均額を示した。しかし築30年以上のマンション(少なくとも大規模修繕工事を2回以上実施しているマンション)の修繕積立金の額はその平均額よりはるかに上回っていることの事実は公には問題視されなかった経緯がある。

2018年度のマンション総合調査では前回の調査を改め、サンプル数を大幅に増やし、築年数の幅を大きくし、築30年を超えるマンションもカウントし、築年数の幅を広くサンプリングした初めてのマンション総合調査となった。
その結果、当然ながら築古マンションの修繕費用の加算、タワーマンションの増加による維持費加算などあいまって、修繕積立金の平均額は大幅に高い額を示した。

修繕積立金ガイドラインに反映

2018年度マンション総合調査を受けて後に修繕積立金ガイドラインが改められた。
延べ床面積5000㎡未満のマンションで修繕積立金平均額が218円/㎡だったものが、335円/㎡と大きく値を上げた。
この公表を受け、マスコミ中心に管理危機を煽る悲観的な報道に管理組合は翻弄され、現在に至っている。
もっともこの335円/㎡は平均であり中央値ではない、国交省はその統計から下限値と上限値お定めた。

 ・235円~430円/㎡(機械式駐車場無しの場合) 延床面積5000㎡の例

これを機に従来の修繕積立金額の2倍、あるいは3倍と値上げを迫られた管理組合はよく見る。もっとも今までが安すぎたという面もあるが、それが日常であっていきなり非現実的な金額を値上げすると言ったら誰でも感情的にならざるを得ないのはよくわかる。未だにこのガイドラインに揺れる管理組合は多い。

何も平均値を目指さなくても下限値あたり200円/㎡ぐらいまで値上げを考えて欲しいということはよく言ってる。値上げの機を逃すと年を追うごとに更に値上げ率は高くなってしまう。5年、10年値上げせず外っておくと、もう下限値辺りの積立金額さえも値上げすることは難しくなる。管理組合もそこのところは良く知っておかなければいけない。いつか、誰かがこの直面した問題に答え出すことになる。

2024年4月3日水曜日

2023年度のあれこれ

 岡山市初の認定マンション


2023年7月12日 岡山市南区両備グレースマンション妹尾駅前・伍番館が岡山市初の管理計画認定制度に認定された。
適正化診断サービスをきっかけに認定を取得するお手伝いをさせていただいた。取得にあたり長計の修正、規約改正、必要書類の準備と確認を行いマンション管理センターに申請。審査官から一部補正指示を受けながらも7月12日に無事岡山市から認定するまでに至った。
中国地方初の認定マンションとなり新聞にも掲載。

理事会はじめ管理会社様の熱心な後押しがあったからこそ成し遂げられたものと感謝している。
併せて岡山市住宅課には、いち早く認定制度の制度構築と広報に努められたことが関係者の背中を押したとも言える。
2023年度からは倉敷市も認定制度を設けることとなり今後の動向に注目しているが未だオファーの話はない。

倉敷市マンション管理セミナー

令和5年度倉敷市主催「マンション管理セミナー&個別相談会」をウウィズアップくらしきにて開催。
セミナー講師として管理士会を代表して講演させていただいた。

講演テーマは
1.役員のなり手不足の対応 役員の資格要件緩和
2.修繕積立金の目安 長計資料から計算してみよう
3.火災保険の知識 付保割合と個人賠償責任保険

通常の講演時間を見直し、時間内に個別相談会を併せて行うことし4組ほどの相談を行うことができた。
座学半分、相談会半分とした時間構成はよかったのではないか。

岡山市マンション管理士派遣制度

2023年度岡山市マンション管理士派遣制度を利用した件数は8件。昨年が12件の実績なので少し減少した。毎年10件程度を見込んでいるので管理士会側からも広報に努めたい。

自主管理からの相談、第三者管理の是非など管理組合運営上の問題などが目立つ。規約改定、長計の修正など理事会と組合員の合意形成にむけての相談など。

管理会社を対立軸におく時代はもうサヨナラしなくてはならない。
やがて管理会社に頼ることなく、熟したマンションは自主管理、老年期は第三者管理という管理形態を変えながら変わっていく管理組合もありだと思う。

マンションの若年期、壮年期、熟年期、老年期と自分のマンションの時代背景を背負いながら管理形態を変えていく時代もあるだろう。
倉敷市もR6年度からは管理士派遣制度を考えているとのことで注目される。







2024年4月2日火曜日

岡山市マンション管理無料相談会

相談件数の増加

岡山県マンション管理士会が岡山市役所等で行う無料相談会は2019年度から始めている。
2019年度の相談件数はわずか13件と1件/月のペースで推移していたに過ぎない。
コロナ禍であった年も相談会の中止もあり件数は伸び悩んでいた。

2022年度、コロナが日常生活として受け入れ、落ち着きをみせた時点から相談件数は増加し、前年度倍増の28件を数えた。この年から岡山市も管理計画認定制度を導入するに至り管理組合からは「認定」の問い合わせもあり管理組合による関心度も上がってきたと言える。またこの年から管理会社の管理費値上げ、契約更新の拒否などが目立ってきた頃でもある。

2023年度はこれらの相談に加え、組合員の個人相談ではなく、理事長をはじめとする役員からの相談が多くなってきている。相談主体が管理組合の執行機関である役員に移行していきていることに注目したい。
2023年度では前年の28件から61件と倍増以上の伸びを示した。5件/月というペースに対応するために担当者の増員を図るまでになった。2019年度の1件/月から想えば隔世の感がある。
組合員の個人的な相談から役員を中心とした管理組合運営上の相談に移行しつつあることを実感している。ここにきて管理士会というものが広く認識されるようになったことと併せて本来管理士がその職務として対応するに相応しい環境が育ってきたことの結果だと感じる。



統計をとる

相談件数の数字を見ただけでは相談会の主旨を語ることはできない。
相談内容にどのような属性があるか統計をとることにした。2023年6月からGoogle Formを利用して相談者と相談内容の属性を調べることになった。
相談者側の個人情報、マンション名、管理会社名は記録しないことは大前提であることは言うまでもない。
記録内容は、
1.相談者の属性
 ・役員(理事長、理事、監事)
 ・組合員
2.マンションの属性
 ・築年数
 ・世帯数
 ・機械式駐車場の有無
3.相談内容の属性(大分類)
 ・管理組合
 ・財産管理
 ・計画修繕
 ・居住者間
4.相談内容詳細項目(小分類)
 ・管理組合の詳細相談項目
 ・財産管理の詳細相談項目
 ・計画修繕の詳細相談項目  

5.相談内容(記述式)

 6.回答内容(記述式) 

 などとした。

サンプル数は2023年度は約60件のサンプルをとることができた。
まだサンプル数の分母が少ないので評価するまでに至っていないが、相談内容の動向を知ることはできる。岡山市内の管理組合が抱える昨今の悩みの傾向を知ることで岡山市のマンション事情を少しでも語ることができるのではないだろうか。
岡山県マンション管理士会はHP上でこれらを公表している。


相談内容と回答内容を記録する(記述式)

相談内容を記録する際、管理組合側からの相談内容と併せて、管理士会員側が回答する内容も記録している。あえて記述式の回答とこだわったのは、管理士会員側のスキルの向上を図った面と回答内容を管理士会員で共有する意図がある。

相談内容をどこまで聞き取り、どのような切り口で解答したかを可視化させることにより、曖昧さを排除して回答内容の標準化を図ることとしている。士業に携わる人は個人間の知見の差が大きいゆえ、解答内容も個人間で濃淡が出やすい。これでは相談者にとって当たりはずれの不信感を招く恐れがある。相談相手によって回答が異なるようであってはならない。このようなことを防ぐため、管理士会としての回答スキルの標準化が求められる。

相談内容の事例を知る、事例に合わせた回答内容を知る。これらを可視化することで互いの知見を深めることを意図している。どのような相談事例があり、どのような回答したかを一覧で見ることが出来るようにしている。この記述式の相談と回答は一般には公表せず、管理士会員のみで共有している。






2023年4月28日金曜日

マンション居住者交流会 岡山市

 マンションに暮らす・管理する悩み


 マンションに暮らしてからはじめてわかる生活上の悩み、管理組合役員としてはじめて経験する管理上の悩み事というのはどこのマンションでも濃淡の違いはあろうが誰も経験するものです。「こんなはずではなかった」を「解決策をないものか」と模索する経験を持つ方は少なくない。マンションで暮らし、生活する上でのトラブル(相隣騒音、ペット飼育、ゴミ出し等)は基本、規約・細則に定める以外の諸々マナーに起因する住民間のトラブルは管理委託契約外であるので管理会社はノータッチ。そのような問題は住民間で解決する事を前提としている。

しかしこの住民間トラブルを受けて、管理組合が自身の問題として解決に向けての受け皿と仕組みを持ち合わしているかといえば、ほとんど持ち合わしていなどころか、目をそらしてきたのが実情ではないだろうか。

マンション管理とは広義的には包括的に生活者の基本的な暮らしを守ることも意味するのに対し、狭義的にはマンションの共用部、管理組合含めた管理の適正化に限定しており、生活者間のトラブルには関与することを避けてきた。つまり住民間の殆どのトラブルに管理組合、理事会としては相談、解決するための受け皿として機能していない実情を受けて、「管理組合、理事会が何もしてくれない」と嘆き、当事者がマンション管理士会の相談会に訴える事例の多さは数えることができない。

役員となり管理会社との折衝、運営上の悩みも多く、合意形成に費やす労苦は並大抵ではないだろう。不信、不明を解決する策どころか、相談する先も知ることもなく悶々とする毎日だろう。問題はこのような悩みを役員に相談もしたところで、誰も経験による知見がないことから助言、指導することもできないし、限られたマンパワーの中では無理というものであろう。問題を抱える当事者にとっては、管理組合、理事会が主体となり相談して問題解決できる仕組みがないことを嘆くジレンマと諦めが根底にあるのではないだろうか。

隣のマンションの問題解決事例を知る


 岡山市の「マンション居住者交流会」とは、岡山市内の各マンションに住む有志が集まり、このような管理上、生活上の悩み、意見などを持ち出して参加者で議論して解決を導くための場である、マンション居住者どおしの横のネットワークを構築することにある。

有志と言えども管理に初心者なので規約、長計などの知識はあまりなく、感情的に訴えることしか初めはできない側面もあり、一部ガス抜き感の場に変わっていしまう危険もあるが、この場のルールを規定して建設的な議論にもっていこうとする行政担当、座長の姿が見られる。会を重ねる毎に、会としての色を出し建設的な議論に発展することだろう。

コミュニティの定義の一つに「地域問題解決型」が挙げられる。問題解決を意図とし、相談ができるマンションコミュニティ団体までに成長していくことに期待している。
本来、ンションの横のネットワーク作りは既存のNPOなどが積極的に関与する分野でもあるが、あまり期待以上に機能せず、岡山市行政担当が形を変えてネットーワーク構築の手助けにのりだしたいうことになるだろう。
今後、この交流会が盛り上がり見せて、市民活動の域にまでも活動を広げていく事を期待している。


2023年1月27日金曜日

認定制度と評価制度

 マンション管理の標準化


認定制度

 国交省がマンション管理の認定制度の施行を2022年度から始まったたことはひとつの大きなきっかけになったことは間違いない。自治体がマンション管理の優れた管理組合を認定するとした背景には、ひたひたと迫る管理不全に陥る膨大なマンションストックの影に待ったなしの懸念を表したものと理解している。自治体が各マンションの優越を判定したところろで、市場価値にそのまま反映されることは期待できないが、少なくともマンションを買う側、売る側に管理水準のお墨付きが与えられたマンションが公表され、一定の指標を示しマンション選択の判断の資するところを提供することではないかと思う。しかしながら認定、すなわち〇か×かの判断でしかない。そもそも管理に〇か×かの判定というのも不思議な基準で、管理水準のレベルを示すことなく合格か不合格を示すものに違和感を持つのも当然と言える。では、なぜ国はあえて評価レベルを示すのではなく、認定にこだわったのはなぜだろうか。

管理の骨太を示す認定制度

 国、あるいは自治体としては、管理の仕様は一様でなくとも、管理組合の運営規範、維持修繕計画と計画に見合う財政力。この3点に絞り一定の水準さえクリアさえすれば、後は多種多様の管理仕様に踏み込むことはしないと示したものと理解している。規範である管理規約と修繕計画である長計、そしてお金である修繕積立金の状況がマンション管理の根幹として一定の線をひいたことによる。この線を管理レベルの上の標準ラインとし、上回っているマンションは合格となり、下回っていれば不合格としている。国、自治体では管理標準を示すものということになる。認定状況は現時点全国で17件が登録されているに過ぎない。この登録数の低さは認定制度のインセンティブが働かない以上に管理組合が申請から認定まで至る手続きの複雑さと負担が考えられる。膨大な資料を電子化するなどの作業を管理組合に投げるなど負担が大きく、管理会社も容易に引き受けることを躊躇するのではないだろうか。

なお、販売中マンションで、まだ管理組合が存在しないマンションには別途「予備認定」という制度を有しており、こちらは全国で500件余りの登録、岡山県下では2件登録を受けている。こちらの予備認定ではデベ、管理会社連名で申請しできるので主に販促ツールの意味合いが強い。顧客への訴求効果としては、他に住宅ローンの優遇ということも予備認定登録を後押ししているようだ。


評価制度

 合格か不合格の認定ではなく、管理水準の等級レベルを示す評価制度を採用している評価制度は2015年から始まっている。マンション管理適正化の法を受け、日本マンション管理士会連合会が行う「マンション管理適正化診断サービス」が先行している。管理規範、修繕計画と見合う資金、加えてライフラインである給排水システムのメンテ状況、消防法に係る点検結果など法点検の遂行と処置、必要書類の保存など多岐にわたり、S、A、Bと3段階の評価を示している、インセンティブとして高評価であれば火災保険料の引下げなどの優遇があり、全国で累計1万5千件の申し込みを受け、岡山県下でも累計50件程度のマンションがこの評価制度を利用しいてる。


 マンション管理業協会が認定制度の施行に合わせて、2022年から始めている「マンション管理適正評価制度」がある。既に今年度で約100件を超える登録を達成させている。管理会社の担当するマンションを管理業協会が6段階に分けて評価するというもので、制度的には最も新しいものとなっており、審査も60項目と多岐にわたる。しかしながら管理会社が主体とならざるを得ない実情もあり、評価取得の姿勢は管理会社のその熱度いかんによらざるを得ない。岡山県下でいえば現在3件(岡山市、倉敷市2件)のマンションが登録されているが、管理会社はすべて日本ハウジングであることに注目したい。中四国大手の穴吹系は岡山、四国では登録にまで至っていないことを考えれば管理会社の熱度に大きく左右されるものと考えられる。
どちらの評価制度もマンション管理をレべル評価し、不動産流通サイトへ評価レベルの公表も可能とし、市場への管理状況を示すものとしている。

管理の標準化

 自治体の認定制度、民間の評価制度などマンション周辺では管理評価と透明化がにわかに話題にあがっている。この評価が俗に呼ばれる「資産価値」に連動することは甚だ疑問であるし、そのような期待を願うものではないが、管理状況の透明化を示すマンションが優良マンションの土俵にあがる資格を得ていくことには変わりはないと言えるのではないだろうか。これら管理評価し公表する姿勢が近々管理の標準化として根付いてくれればと思う。

2022年11月21日月曜日

資産価値、資産価値というけれど

あなたのマンションの「資産価値」って



  昨今のマンション管理業界周辺ではマンションの評価制度を語る人がずいぶん増えてきていると感じる。国交省も自治体もマンションの将来を案じ、管理不全を予防する施策に余念がない。本年4月から始まった自治体と管理業界が推すマンションの評価制度の導入となったのはその施策の表れだろう。従前では、マンション管理の質的向上の指針となるものさしが甚だ曖昧であり、広く社会的に広まるところまで至らなかったという思いだ。「マンションは管理を買え」と言われ、世間に響いて耳を傾けるまでになったのはつい最近のような気がする。


 いわゆるマンションを資産運用の蓄財の材料として見なし、その不動産価値を「資産価値」として置き換えてきたもので、投資材料の道具として見てきた感がある。その資産価値を決めるのは、マンションのブランドであり、規模と豪華さであり、充実した共用施設であり、利便性の高い都心駅近であり、流通性でもある。高額であればあるほど、それに見合う価値として購入者に刷り込まれていったのだろう。マンションに住むということよりもマンションを購入することに意味があったのかもしれない。マンションの価値とは適正な管理を推す価値ではなく、投資材料的な文字とおり金の成る材料として「資産価値」に重きを置いたものであったろうと思う。所有して賃貸で貸して値上げを待って売却する。

 しかしマンションに住む人々が全てこの「資産価値」に一喜一憂しているとはとても思えない。不動産仲介サイトで自分のマンションの売却相場を知ったところで、売却してどこかで暮らすあてもない人が大方であろう。統計的には今の住むマンションを終の棲家としてとらえている方の割合は年々増え続けている。特に高齢者にとっては今のマンションの売却相場を知ったところで、痛くも痒くもないはずだ。不動産としての資産価値云々とは程遠いところにいると言っていい。このような方々が管理組合員の総勢を占めているマンションであれば、資産価値と声高に騒いでいても響いてこないだろう。
 資産価値を高めるためにマションの財政を健全な水準に引き上げようと修繕積立金の値上げを提案したところで、得体の知れない「資産価値」を享受する期間とそのために値上げする修繕積立金を天秤に測ればおのずと答えは分かろうというものだ。資産価値を高めるために暮らしているのではなく、日々の平穏の暮らしに重きを置き、貯蓄を切り崩して目先の生活を営む高齢者にとっては、マンションの資産価値よりもご自分の資産価値のほうがよっぽど切実な問題である。


 このような平均的なマンションの住民の声はある意味サイレントマジョリティの声でもある。昨今のマンションの「資産価値」を唱える声にかき消されつつあるが、根付いている声でもあるはずだ。マンション管理関係者は、マンションを管理不全から救うために「資産価値」を高める話とその必要性をを唱えるが、その責任を管理組合に負わせるだけの話が多すぎるのではないだろうか。
何も「資産価値」だけでそのマンションの評価が左右されなくてもいいはずだ。
マンションの評価を「資産価値」一辺倒だけではなく違う視点から評価する基準もあってもいいと思う。

岡山市マンション管理実態調査

 マンション長寿化施策 マンション管理の行方が都市計画を左右させることは容易に想像できる。 マンション化率が30%を超える東京都心であれば、マンション施策は都市計画に直結する。 都心に限らず、中核都市、政令指定都市、自らマンション施策を発信している地方都市も少なくない。大なり小な...