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2025年5月25日日曜日

区分所有法改正2025/1.管理の円滑化(後編)

 

区分所有法改正のポイント

区分所有法改正のポイント三つ
  1. 区分所有建物の円滑化を図る方策
    1-1.所在等不明区分所有者を決議の分母から除外する制度(除外決定)
    1-2.出席者(委任状•議決 権行使書含む)の多数決により決議可能に
    1-3.共有住戸の議決権行使者の指定は共有者の過半数で
    1-4.所有者不明 専有部分管理人
    1-5.管理不全 専有部分管理人
    1-6.管理不全共用部分管理制度
    1-7.その他
  2. 建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-1.建替え要件の緩和•賃貸借の終了請求
    2-2.建物の更新(一棟リノベーション)
    2-3.新たな再生手法•解消制度の導入
  3. 団地の管理・再生の円滑化を図る方策
    3-1.団地一括建替えの全体要件と各棟要件に緩和
    3-2.団地内建物・敷地の一括売却
前編に引き続き、今回は1.区分所有建物の再生の円滑化の後編(1-4~1-7)についての解説

1.区分所有建物の管理の円滑化を図る方策
(後編1-4~1-7)


1-4.所有者不明 専有部分管理人

Q1-4:
Aマンションの301号室の区分所有者が死亡し、相続人 全員が相続放棄をしました。
同人死亡後301号室の管理費は3年間滞納状態にありま す。
Aマンションの管理組合は、当該住戸から滞納管理費を 回収したいと考えています。
どうすればよいでしょうか。

A1-4:
所有者不明専有部分管理人の選任が可能になった。
(必要な調査を尽くした上で)区分所有者を知ることができず(相続人全員の相続放棄等)、またはその所在を知るこ とができない場合、利害関係人が裁判所に申し立てることで、裁判所が、専有部分(共用部分、敷地利用権等も含む) の管理人(所有者不明専有部分管理人)を選任する制度が創設される。
専有部分の管理不全、マンション全体への悪影響を防ぐため。 また、専有部分が流通に供されないという 不利益が生ずる。

新たな制度の必要性•「物」単位の財産管理人の創設
利害関係人:他の区分所有者、専有部分の共有者の一部が不明である場合の共有者、 
管理者、管理組合法人、購入計画に具体性がある場合の購入希望者など
財産管理人候補者:弁護士、司法書士、当該マンションの管理者、管理業者等

1-5.管理不全 専有部分管理人

Q1-5:
Aマンションの401号室は大量にたまったゴミのた めに悪臭を発しており、水道管からの水漏れも発生 しています。
管理組合としては、どのような対応がとれるで しょうか。

A1-5:
専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、また は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、 管理不全専有部分管理人を選任することができる。
利害関係人:管理不全によって権利•利益の侵害を受け、または受けるおそれのある者(区分所有者も 周辺住民も含まれる。管理者•管理組合法人も含まれることが想定されている)
■申立権者:利害関係人
■専有部分の管理が不適当であることによって権利又は法律上保護され利益が侵害され、侵害されるおそれがある者 
■要件:
① 区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又 は侵害されるおそれがある場合
②必要があると認めるとき
■必要があるとみとめるとき
-管理不全専有部分管理人による管理を命ずることが必要かつ相当である場合。管理がされていない、管理されている ものの不十分である場合など。
■管理対象物:
①専有部分(または専有部分の共有持分)
②専有部分•共用部分•附属施設•建物の敷地にあり、かつ管理不全専有部分の区分所有者が所有する動産
③共用部分に関する権利
④ 附属施設に関する権利
⑤敷地利用権
⑥売却等の結果得た財産(価値転化物)

1-6.管理不全共用部分管理制度

Q1-6:
Bマンションは、外壁のコンクリートが爆裂し 剥落しています。
今後も剥落が継続的に発生しそうです。 
同マンションでは管理者が選任されておらず、 集会も開催されていないようです。
周辺住民としては、どのような対応をとることができるでしょうか。

A1-6:
管理不全共用部分管理人の選任が可能になった。
共用部分の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、 または侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求に より、管理不全専有部分管理人を選任することができる。
利害関係人:管理不全によって権利•利益の侵害を受け、または受けるおそれのある者(主に周辺住民が想定されるが、区分所有者による申立ても排除されてい ない)
管理不全共用部分管理人の権限:保存行為、管理不全共用部分の性質を変えない範囲において、その利用又は改良を目的とする行為

申立権者:利害関係人
■共用部分の管理が不適当であることによって権利又は法律上保護され利益が侵害され、侵害されるおそれがある者 
■要件:
① 区分所有者による共用部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又 は侵害されるおそれがある場合
② 必要があると認めるとき(新区分所有法4 6条の13) 
■必要があるとみとめるとき
■管理不全専有部分管理人による管理を命ずることが必要かつ相当である場合。管理がされていない、管理されてい るものの不十分である場合など。
■管理対象物:
①共用部分(または専有部分の共有持分)
②共用部分にあり、かつ共用部分の所有者が所有する動産
•マンション(区分所有建物)の解体をするには、共用部分の共有者全員の同意が必要 
•管理不全共用部分の管理に係る費用及び管理人の報酬の支払義務は、共用部分の 共有者が連帯して負担する

1-7その他

管理組合法人の規定と管理組合法人による専有部分•近隣土地の取得
管理組合法人による専有部分•近隣土地の取得
1.管理組合法人は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために必要 な場合には、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以 下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合 にあっては、その割合以上)の者であって議決権の過半数(これを上回る割 合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、 出席した区分所有者及びその議決権の各4 分の3 以上の多数による決議をす ることによって、当該建物の区分所有権又は当該建物及び当該建物が所在す る土地と一体として管理若しくは使用をすべき土地を取得することができる。
 
2 管理組合法人は、前項の規定により区分所有権を取得した場合であって も、第3 8 条の規定にかかわらず、当該管理組合法人の集会における議決権 を有しない。

次回は

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