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2023年4月28日金曜日

マンション居住者交流会 岡山市

 マンションに暮らす・管理する悩み


 マンションに暮らしてからはじめてわかる生活上の悩み、管理組合役員としてはじめて経験する管理上の悩み事というのはどこのマンションでも濃淡の違いはあろうが誰も経験するものです。「こんなはずではなかった」を「解決策をないものか」と模索する経験を持つ方は少なくない。マンションで暮らし、生活する上でのトラブル(相隣騒音、ペット飼育、ゴミ出し等)は基本、規約・細則に定める以外の諸々マナーに起因する住民間のトラブルは管理委託契約外であるので管理会社はノータッチ。そのような問題は住民間で解決する事を前提としている。

しかしこの住民間トラブルを受けて、管理組合が自身の問題として解決に向けての受け皿と仕組みを持ち合わしているかといえば、ほとんど持ち合わしていなどころか、目をそらしてきたのが実情ではないだろうか。

マンション管理とは広義的には包括的に生活者の基本的な暮らしを守ることも意味するのに対し、狭義的にはマンションの共用部、管理組合含めた管理の適正化に限定しており、生活者間のトラブルには関与することを避けてきた。つまり住民間の殆どのトラブルに管理組合、理事会としては相談、解決するための受け皿として機能していない実情を受けて、「管理組合、理事会が何もしてくれない」と嘆き、当事者がマンション管理士会の相談会に訴える事例の多さは数えることができない。

役員となり管理会社との折衝、運営上の悩みも多く、合意形成に費やす労苦は並大抵ではないだろう。不信、不明を解決する策どころか、相談する先も知ることもなく悶々とする毎日だろう。問題はこのような悩みを役員に相談もしたところで、誰も経験による知見がないことから助言、指導することもできないし、限られたマンパワーの中では無理というものであろう。問題を抱える当事者にとっては、管理組合、理事会が主体となり相談して問題解決できる仕組みがないことを嘆くジレンマと諦めが根底にあるのではないだろうか。

隣のマンションの問題解決事例を知る


 岡山市の「マンション居住者交流会」とは、岡山市内の各マンションに住む有志が集まり、このような管理上、生活上の悩み、意見などを持ち出して参加者で議論して解決を導くための場である、マンション居住者どおしの横のネットワークを構築することにある。

有志と言えども管理に初心者なので規約、長計などの知識はあまりなく、感情的に訴えることしか初めはできない側面もあり、一部ガス抜き感の場に変わっていしまう危険もあるが、この場のルールを規定して建設的な議論にもっていこうとする行政担当、座長の姿が見られる。会を重ねる毎に、会としての色を出し建設的な議論に発展することだろう。

コミュニティの定義の一つに「地域問題解決型」が挙げられる。問題解決を意図とし、相談ができるマンションコミュニティ団体までに成長していくことに期待している。
本来、ンションの横のネットワーク作りは既存のNPOなどが積極的に関与する分野でもあるが、あまり期待以上に機能せず、岡山市行政担当が形を変えてネットーワーク構築の手助けにのりだしたいうことになるだろう。
今後、この交流会が盛り上がり見せて、市民活動の域にまでも活動を広げていく事を期待している。


2023年1月27日金曜日

認定制度と評価制度

 マンション管理の標準化


認定制度

 国交省がマンション管理の認定制度の施行を2022年度から始まったたことはひとつの大きなきっかけになったことは間違いない。自治体がマンション管理の優れた管理組合を認定するとした背景には、ひたひたと迫る管理不全に陥る膨大なマンションストックの影に待ったなしの懸念を表したものと理解している。自治体が各マンションの優越を判定したところろで、市場価値にそのまま反映されることは期待できないが、少なくともマンションを買う側、売る側に管理水準のお墨付きが与えられたマンションが公表され、一定の指標を示しマンション選択の判断の資するところを提供することではないかと思う。しかしながら認定、すなわち〇か×かの判断でしかない。そもそも管理に〇か×かの判定というのも不思議な基準で、管理水準のレベルを示すことなく合格か不合格を示すものに違和感を持つのも当然と言える。では、なぜ国はあえて評価レベルを示すのではなく、認定にこだわったのはなぜだろうか。

管理の骨太を示す認定制度

 国、あるいは自治体としては、管理の仕様は一様でなくとも、管理組合の運営規範、維持修繕計画と計画に見合う財政力。この3点に絞り一定の水準さえクリアさえすれば、後は多種多様の管理仕様に踏み込むことはしないと示したものと理解している。規範である管理規約と修繕計画である長計、そしてお金である修繕積立金の状況がマンション管理の根幹として一定の線をひいたことによる。この線を管理レベルの上の標準ラインとし、上回っているマンションは合格となり、下回っていれば不合格としている。国、自治体では管理標準を示すものということになる。認定状況は現時点全国で17件が登録されているに過ぎない。この登録数の低さは認定制度のインセンティブが働かない以上に管理組合が申請から認定まで至る手続きの複雑さと負担が考えられる。膨大な資料を電子化するなどの作業を管理組合に投げるなど負担が大きく、管理会社も容易に引き受けることを躊躇するのではないだろうか。

なお、販売中マンションで、まだ管理組合が存在しないマンションには別途「予備認定」という制度を有しており、こちらは全国で500件余りの登録、岡山県下では2件登録を受けている。こちらの予備認定ではデベ、管理会社連名で申請しできるので主に販促ツールの意味合いが強い。顧客への訴求効果としては、他に住宅ローンの優遇ということも予備認定登録を後押ししているようだ。


評価制度

 合格か不合格の認定ではなく、管理水準の等級レベルを示す評価制度を採用している評価制度は2015年から始まっている。マンション管理適正化の法を受け、日本マンション管理士会連合会が行う「マンション管理適正化診断サービス」が先行している。管理規範、修繕計画と見合う資金、加えてライフラインである給排水システムのメンテ状況、消防法に係る点検結果など法点検の遂行と処置、必要書類の保存など多岐にわたり、S、A、Bと3段階の評価を示している、インセンティブとして高評価であれば火災保険料の引下げなどの優遇があり、全国で累計1万5千件の申し込みを受け、岡山県下でも累計50件程度のマンションがこの評価制度を利用しいてる。


 マンション管理業協会が認定制度の施行に合わせて、2022年から始めている「マンション管理適正評価制度」がある。既に今年度で約100件を超える登録を達成させている。管理会社の担当するマンションを管理業協会が6段階に分けて評価するというもので、制度的には最も新しいものとなっており、審査も60項目と多岐にわたる。しかしながら管理会社が主体とならざるを得ない実情もあり、評価取得の姿勢は管理会社のその熱度いかんによらざるを得ない。岡山県下でいえば現在3件(岡山市、倉敷市2件)のマンションが登録されているが、管理会社はすべて日本ハウジングであることに注目したい。中四国大手の穴吹系は岡山、四国では登録にまで至っていないことを考えれば管理会社の熱度に大きく左右されるものと考えられる。
どちらの評価制度もマンション管理をレべル評価し、不動産流通サイトへ評価レベルの公表も可能とし、市場への管理状況を示すものとしている。

管理の標準化

 自治体の認定制度、民間の評価制度などマンション周辺では管理評価と透明化がにわかに話題にあがっている。この評価が俗に呼ばれる「資産価値」に連動することは甚だ疑問であるし、そのような期待を願うものではないが、管理状況の透明化を示すマンションが優良マンションの土俵にあがる資格を得ていくことには変わりはないと言えるのではないだろうか。これら管理評価し公表する姿勢が近々管理の標準化として根付いてくれればと思う。

2022年11月21日月曜日

資産価値、資産価値というけれど

あなたのマンションの「資産価値」って



  昨今のマンション管理業界周辺ではマンションの評価制度を語る人がずいぶん増えてきていると感じる。国交省も自治体もマンションの将来を案じ、管理不全を予防する施策に余念がない。本年4月から始まった自治体と管理業界が推すマンションの評価制度の導入となったのはその施策の表れだろう。従前では、マンション管理の質的向上の指針となるものさしが甚だ曖昧であり、広く社会的に広まるところまで至らなかったという思いだ。「マンションは管理を買え」と言われ、世間に響いて耳を傾けるまでになったのはつい最近のような気がする。


 いわゆるマンションを資産運用の蓄財の材料として見なし、その不動産価値を「資産価値」として置き換えてきたもので、投資材料の道具として見てきた感がある。その資産価値を決めるのは、マンションのブランドであり、規模と豪華さであり、充実した共用施設であり、利便性の高い都心駅近であり、流通性でもある。高額であればあるほど、それに見合う価値として購入者に刷り込まれていったのだろう。マンションに住むということよりもマンションを購入することに意味があったのかもしれない。マンションの価値とは適正な管理を推す価値ではなく、投資材料的な文字とおり金の成る材料として「資産価値」に重きを置いたものであったろうと思う。所有して賃貸で貸して値上げを待って売却する。

 しかしマンションに住む人々が全てこの「資産価値」に一喜一憂しているとはとても思えない。不動産仲介サイトで自分のマンションの売却相場を知ったところで、売却してどこかで暮らすあてもない人が大方であろう。統計的には今の住むマンションを終の棲家としてとらえている方の割合は年々増え続けている。特に高齢者にとっては今のマンションの売却相場を知ったところで、痛くも痒くもないはずだ。不動産としての資産価値云々とは程遠いところにいると言っていい。このような方々が管理組合員の総勢を占めているマンションであれば、資産価値と声高に騒いでいても響いてこないだろう。
 資産価値を高めるためにマションの財政を健全な水準に引き上げようと修繕積立金の値上げを提案したところで、得体の知れない「資産価値」を享受する期間とそのために値上げする修繕積立金を天秤に測ればおのずと答えは分かろうというものだ。資産価値を高めるために暮らしているのではなく、日々の平穏の暮らしに重きを置き、貯蓄を切り崩して目先の生活を営む高齢者にとっては、マンションの資産価値よりもご自分の資産価値のほうがよっぽど切実な問題である。


 このような平均的なマンションの住民の声はある意味サイレントマジョリティの声でもある。昨今のマンションの「資産価値」を唱える声にかき消されつつあるが、根付いている声でもあるはずだ。マンション管理関係者は、マンションを管理不全から救うために「資産価値」を高める話とその必要性をを唱えるが、その責任を管理組合に負わせるだけの話が多すぎるのではないだろうか。
何も「資産価値」だけでそのマンションの評価が左右されなくてもいいはずだ。
マンションの評価を「資産価値」一辺倒だけではなく違う視点から評価する基準もあってもいいと思う。

2022年9月29日木曜日

区分所有法の限界

 時代に合わない区分所有法

区分所有法

 区分所有法が施行されて約60年、この間に多少の改正があったとしても基本的に変わることはない。
今から約60年前に現在のマンションの様々な問題を想定しているとは思えず、この法律が今般の問題を引きずっていると感じることも少なくない。

この区分所有法ができた頃に建てられたマンションの現在の立ち位置はどのようなものだろうか。区分所有法によって守られた区分所有者の権利と引き換えに、区分所有法で縛られる自由もある。それはマンションの高経年化に伴う区分所有者の身の振り方であり、物理的なマンションの終わらせ方を示していないところである。

区分所有の終わらせ方

 高経年マンションであり賃貸化が進み、管理組合も名ばかりで管理会社も手をひくような管理不全のマンションがこれから先増えることは容易に想定できる。売ることもできないマンションを抱えた区分所有者に対して管理を怠ったことへの自業自得と冷ややかな目を向けることは簡単だが、過程はどうであれ、結果として区分所有法は、社会資本であるマンションをスラム化を防ぐ縛りは設けても、合法的に区分所有権から離脱するというすべは何も示していない。区分所有がマンションを終わらせようにもその終わらせ方を区分所有法は何も示していない。

区分所有法ではいったん所有したマンションでは売買や譲渡による権利移転以外、その放棄は認められず、区分所有が亡くなるまでそのマンションを引きずることになる。

つまりこの法律によって、守られる権利もあれば、権利を意図的に放棄する自由もないことがジレンマとしてある。マンションという負の遺産から逃れるには売買により区分所有者から逃れること以外になく、マンションを放棄したい、区分所有権を放棄したいと考える区分所有者に応える法的なよろどころがないに等しく、今後マンション維持に要する資金もなく、また、管理不全のマンション売却することもできなくなって身動きができない区分所有者難民を生むことになる。

マンション建替えの幻想

 昨今マンション管理に関わるニュースが紙面をにぎわすことも多くなった。特に高経年化に伴う区分所有者の高齢化とマンション維持コスト高騰によるマンション管理の悲哀の話題である。この先、管理をなす人がいなくなり、管理する原資がなく、管理能力のない無関心な区分所有者、あるいは認識はしつつも何も打つ手がなく、動くことができない区分所有者達によって、マンションの将来は確実にスラム化の道をたどることになる。全国の観光地に廃墟化したホテルが散見されるが、この光景が今住んでいる街に将来見ることもあり得ることだろう。

高経年化のマンションの未来図を描く時にいつも話にあがるのはマンションを建て替えるという選択である。しかし「マンション建替え円滑法」もその合意形成の要件を緩和していくことになっても、建替えするという選択ができるマンションは果たしてどれくらい存在するだろうか。利便性があり、かつ容積率を緩和でき、デベロッパーも参加できるような立地条件、今後予想される高価値が認められ、なおかつ建替え費用を超える価値を見出すことができるマンションは都心でもごく稀である。一般的な郊外に並ぶマンションなどは殆ど建替えることはできないと言ってもいい。安易に建替えを検討する管理組合もあるが、聞けばほとんどが希望と理想を語っているにすぎない状況だ。

 岡山市内の小規模マンション(20戸程度)の再調達金額は約4億円として、1戸当たり2000万円をだして再建しようと賛同する区分所有者がいるとは到底思えないのである。

2022年7月23日土曜日

自主管理について

 小規模マンションの管理


管理会社の撤退

 最近よく見聞きするのが管理会社による管理組合の撤退。管理会社の更新が当たり前のようであった時代からは考えられないような状況が広がりつつある。
住友不動産建物サービス(建サ)が2年ほど前から、今後不採算が見込まれる管理組合、諸事情に問題を抱えた管理組合などの将来リスクを避けるためマンション戸数規模に関わらず契約を更新しないと発表した。この動きに各管理会社からは「よくぞ言ってくれました。」と同調気配。主従の逆転となるこの流れは一気に業界を駆け巡り、管理組合のお客様意識を変えるよい機会になったといえる。
管理会社の多くは淘汰されつつ、適正化法の縛りによりサービスの標準化がなされつつあるが、管理組合には法と契約による管理意識と組合認識が乏しい故、管理会社に主張と批判を繰り返しお客様意識によるクレーマー集団となっていることも多々あると言っていい。

 どこの管理組合でもそうだが、しっかりと運営なされている管理組合は管理会社がどこであろうと関係がない。管理会社によって管理組合が弱くなることはない。管理組合と管理会社は緊張感と距離感をもちながらのパートナーでしか過ぎず、管理主体は管理組合にあるもののそこに上下の関係はない。管理組合さえしっかりしていれば、管理会社に左右されることはないし、管理会社の責任云々の話しはでてこない。理事長が「管理会社がぁ」と声高に叫ぶ様を見る度にやれやれと思うのは私だけではないはずだ。管理会社の非を責める熱量がある分その熱量を管理区組合の建設的な是正に向ければどれだけ助かるかと思うことしばしある。

小規模マンションの場合

 ある事情により管理会社から管理打ち切りを宣告された管理組合のその後の管理形態をみると、大方自主管理へと移行するようだ。というか自主管理しか道はないというのが正直なところ。今まで良かれ悪しかれ管理会社に頼ってきたものが突然自分たちで管理を行わなければならなくなった時、各組合員の負担は想像を超えることに気が付くはずだ。出納は誰がどのような方法で行うか、会計は誰が責任をもって行うのかなど運営の基幹に係る諸事に試行錯誤で名ばかりの管理で責任をないがしろにされ、管理体制と内容はやがて惰性と曖昧さ生み、独善から横暴がはびこり、長年居座り続ける理事長はやがて癒着と横領に至るのが一般的だ。
ただし自主管理の形態も昔とその様は変化している。今では自主管理をサポートする管理会社のサービスも存在する。

自主管理サポートに特化

 1つは、自主管理で最も悩ましい出納・会計業務のみをサービスする管理会社も存在する。フロントは存在しないし管理組合運営にタッチしないので料金は大幅に安くなる。このサービスを起ち上げてる管理会社も大手で限られているものの自主管理で人手も乏しい小規模なマンションとしてはありがたい存在ななることだろう。

2つめは、自主管理に特化したアプリを管理組合に導入し、このアプリ上で出納・会計管理を行うもの。管理会社から購入したアプリを組合員が3カ月程度導入、操作方法の講習を受けた後はスマホで承認から支払い、決済まで行う。スマホの基本操作が必須だが、管理内容の透明性は群を抜いているので、今後このような方法が普及するように思える。現在三菱地所の「KURASEL」が先行しているが、あなぶきハウジングの「SMUSIA」も関東圏でサービスを行うことが発表された。今後、各管理会社も自主管理の管理組合を取り囲むため、アプリ開発を進めて普及を図るとみられる。

このような自主管理支援アプリの導入することにより、出納・会計業務から解放され、組合運営に注力することができる点は大きく、昔のような自主管理という負のイメージを払拭することになるかもしれない。

2022年6月17日金曜日

受益者負担

 機械式駐車場と受益者負担




修繕積立金に計上するだけでは不十分

 機械式駐車場の駐車料金代を管理費に全額計上している管理組合はまだ多く、修繕積立金の積立不足の大きな要因を占めている。その反省から駐車場代を機械式駐車場の管理に充てる他、その残りを修繕積立金に充てる管理組合もふえてきたようにも見える。

 ある管理組合は昨年度まで全額管理費に計上していたものを今期から振り分けて修繕積立金に充てる決議をした。遅まきながら修繕積立金を増やす方向に舵をきったその判断は正解だったと思う。しかしよく話を聞くと、単に修繕積立金に振り替えただけで帳簿上、一般の修繕積立金と機械式駐車場積立金との区分をせず、駐車場代がそのまま一般の修繕積立金の費目に計上していいることが分かった。したがって駐車場料金をいくら積み立てているかということが帳簿上で確認できない状況であった。

機械式式駐車場積立金

 機械式駐車場積立金の費目を設けるという事は、この積立金で機械式駐車場の修理代を補うという意味であり、この限りある積立金で機械式駐車場の補修メンテの面倒を見ていこうとするものだ。この積立金の残高、支出の動向と稼働率を掛けて、将来に向けて機械式駐車場の維持の可否の限界点を知ることができるが、その分岐点まで維持するのであれば、その維持費は駐車場代で徴収した機械式駐車場積立金でまかなうという性質なものである。
言い方を変えれば、機械式駐車場を利用している人達で機械式駐車場の維持をしていくということであり、駐車場を利用していない人は負担しないというのが原則である。
機械式駐車場は、法定共用部でも規約共用部でもなく、建物の付属物である。この付属物(施設)の利用は利用料を支払う事で管理されているので、区分所有者が一律に負担を強いる性質のものではなく、あくまでも利用者(受益者)が負担する性質のものである。

もっとも平置き駐車場と機械式駐車場を併用している管理組合の場合、機械式駐車場の利用を抽選と輪番とかで機械式駐車場を選択せざる得ない状況下と思われるので、平置き、機械式の利用者を問わず、機械式駐車場の維持の負担を分かち合うことになる。

受益者負担

 この機械式駐車場を一般的な修繕積立金にそのまま計上するということは、その修繕積立金から機械式駐車場を修理するという認識の上にたっている。
しかし駐車場を利用をしない区分所有者の立場からみるとこれは甚だ問題だと言わざるを得ない。
機械式駐車場の利便性に疑義を感じ利用することなく、その稼働率がやがて低くなっていくことは容易に想像できる。中心市街地なら車そのものを利用する必要性もなくなり、高齢化とともに車離れが加速していくことになる。その中で駐車場を利用せず、駐車場代を支払わない区分所有者もあるだろう。彼らが積立てた修繕積立金が利用しない機械式駐車場の修理のために多額な修理代に使われたとしたらどう思うだろうか。本来建物の修繕のために積立てられていると思っているのに、そのお金が機械式駐車場の修理に充てられては話が違うということになる。
これら徴収する専用使用料はどのような用途で使われるかを本来であれば規約で明文化しておく必要があるのは言うまでもない。この事は駐輪場で徴収する使用料と同じ意味を持つのかという議論になるが、前提条件(負担条件)が異なるので同等には考えられない。どちらも丁寧な説明が求められる。

駐車場を利用する人が積立てるのが機械式駐車場積立金であり、そのお金を費目別に修繕積立金と機械式駐車場積立金とに分けず、丸ごと修繕積立金に計上してしまうことにより受益者負担の原則が見えなくなってしまった例である。

2022年6月13日月曜日

機械式駐車場の会計

 増え続ける機械式駐車場のメンテ負担



増え続ける機械式駐車場

郊外で比較的敷地に余裕があるマンションでは、駐車場は全戸分平置きで用意されていることと思います。この光景に慣れている私はマンションというものは、おおよそ敷地内に平置きされているものが平均的なマンションの姿だと感じてました。しかし近年では、中心市街に限らず、郊外でも平置き+機械式駐車場という形態が浸透しつつあります。今では機械式駐車場を設置しなければマンションを建てることもできなくなっているようです。一般に商業地区で建設されるマンションの容積率上限で建設されたマンションでは、平置き駐車場は望むべくことなく、機械式駐車場が前提となってしまうのは当たり前になりつつあります。機械式駐車場もマンションの規模により、よりタワー化し複雑化していきます。

マンションを購入するとき、この機械式駐車場はある意味マンションの象徴のように映ったこともあることでしょう。だが、それはマンションを購入するまでの夢事のように映っていたことでしょう。誰も今後この機械式駐車場を維持するためのコスト負担で悩ますなど考えるべくもありません。

メンテナンスの基本は部品交換

 標準管理規約では駐車場などの専用使用料はその管理にかかる経費は管理費へ、残りは修繕積立金として計上することを謳ってます。平置き駐車の例をとれば、駐車場の管理といえば、白線とか輪留めとかが想定されますが通年予算化するほどの修理、補修も考えることはありません。しかし機械式駐車場であれば、メンテ代(基本料+油脂類/年)が想定されます。これらは予算化できる範囲なので管理費からおとすことを前提として予算化することはできます。しかし修理代金は部品単位でその人件費と併せて低額なものから高額なものまでとその差は大きく年間の予算額の設定することは非常に難しいのが現状です。メンテナンス業者の契約にもよりますが、経年劣化および可動部の劣化による対処は補修ではなく交換が前提となるため、例え小さな傷、ひびが入っていれば、安全面から補修ではなく交換を推奨していきますので、汎用的な部品ではないため部品代と人件費の対価はおおよそ高額になるのは必至です。これらは予算化できないので管理費から支払うことはできません。修繕積立金(機械式駐車場積立金)から支払います。

このことからメンテ代を管理費、修理代を積立金などの特別会計から支払うという前提ができていない管理組合では、今後機械式駐車場の修理費負担が管理費または修繕積立金を財政を逼迫させる要因になってしまいます。


機械式駐車場の会計

前述のとおり、駐車場の料金を一部管理にあてた後、残りを修繕積立金に振り替えた場合、今後は、この積立金から修理代を支払うという明確な意図が必要です。機械式駐車場の使用料支払ったお金は管理組合の修繕積立金(駐車場積立金)として積立られ、その支払いは機械式駐車場の修理、改修のためにしか支払うことができないという明確な意図がなければいけないということです。
また、修繕積立金に振り替えた後、帳簿上で一般の修繕積立金と機械式駐車場積立金とを別会計に費目を分けて設定することが望まれます、これを怠ると一般修繕積立金と機械式駐車場積立金がそれぞれいくら貯まっているかが判断できません。費目を分けて一般修繕積立金と機械式駐車場積立金がそれおそれいくら貯まっているか判別できるよう帳簿することが大切です。
また、駐車場専用使用料代金のうち全額を機械式駐車場の充てるのか、5対5の割合で一般修繕積立金と機械式駐車場積立金に振り分けるなどの操作を行い、一般修繕積立金も蓄えられるよう年度毎の状況で比率を変えればいいと思います。



☆自己紹介☆

自己紹介 こんにちは! 加藤典保といいます。 岡山県マンション管理士会で副会長やってます! マンション居住歴30余年でもあります。 マンション管理士と名乗ってもマンションに住んだことがないマンション管理士とは一線を画します(笑) あなたのマンションについてのお悩みや相談など困りご...